月別アーカイブ: 2010年9月

溶解!

一泊旅行から帰ると、部屋がちょっと異常な感じです。
何となく焦げたような匂いに、
何かがウーンと微妙に唸っています。
パソコン?扇風機?冷蔵庫?
わーっ!冷蔵庫です。
冷凍庫のドアが開いてます。
水がぽたぽた落ちてます。
冷凍庫の中が全て溶解です。
冷凍食品もアイスキャンティーも形が有りません。

冷凍庫のドアを急いで閉めます。
シャーと冷風の噴出す音がして、
冷凍庫の中が冷え恥じます。

冷蔵庫のお茶を飲もうと思います。
えっ!ぜんぜん冷たくありません。
ドアが閉まっていたのに、冷えてません。
冷風も吹き込んでません。
室温より暖かいような感じです。

どうしよう!如何しよう!取り合えず
買った電気店に電話してみよう。
わ!何度電話しても話し中です。
電話、通じません!

冷凍食品だけでも、隣のばぁちゃん宅へ非難です。
溶解したアイスクリーム。
果たしてどんな形で固まるでしょう??

悪い人じゃないけど・・は

18日、今日は昼にご飯を炊きます。
ご飯を炊くと、卵かけご飯を食べます。
新鮮 卵も買って来てます。

そろそろご飯が炊き上がります。
其の時、ときどき遣って来る、おっちゃんが来ます。
ナンバーズが当たったとかでジュースや
アイスクリームを買ってきてくれます。
あっ!ご飯 炊き上がります。
ご飯は熱いうちに食べねば、でもおっちゃん帰りません
いろいろ貰ったし「帰れ!」とも言えません。
つい、冷たい飲み物も出して上げてます。
「僕 ご飯食べるよ!」と、お茶碗にほかほかご飯を
ほっこり乗せて、卵を割り入れます。
「わー、わしはそれはよう食べん」と、
横で顔をしかめるのです。
別におっちゃんに「食べろ」とは、言ってません。
おっちゃんは尚も、生卵食べると、
背中いっぱいジンマシンが出た!と、言います。
今、僕はほかほかご飯と卵をかき混ぜ、醤油をたらして
食べようとしてるところです。
「生卵にはピロリ菌が居る」など、続けてます。
「おっちゃん、僕は卵掛けご飯を食べたいのです」
そして、今、正に食べてます。

一般にこういう人を「悪い人じゃないけどね」と、
言います。トレくんだってもう少し状況よみますよ!

金貸して!

「俺、癌なんだ」と、
10年数年ぶり電話をかけてきた友人が言います。
「兄貴も癌で死んで」 それで金が掛かって!
それからも沢山の家族の不幸を聞かされます。
「君も金無いだろうが、少し貸して!」と、言います。
「どれ位要るの?」と、聞けば、
「幾らなら貸せる」と、逆に聞きます。

結局、友人が言うには、当座の生活費の足しに
五万円ほど貸して欲しいのだそうです。
僕は頭の中で百万円ぐらい貸して欲しいと、
言われるのではと、ドキドキしてたのですが、
五万円と聞いて、ほっとして「貸したげる!」と、
言ってしまいます。でも、でもです。
貸して上げるけど、
僕は字が書けないし、ATMも使えません。
送って上げることが出来ませんね。

「誰か送金出来る人探しなよ。お金は保障するから」と、
友人に言います。「誰も居ない」と、言います。
共通の友人、何人かの名前を挙げてみます。
だけど、皆仕事をしています。
たいして付き合いの無い友人の為に手間を惜しまず、
協力してくれるでしょうか??

もう一度「近くに居ないの?」と、ききます。
病院関係の仕事だから、お医者さんや
大学教授に知り合いがある!と、
自慢を聞かされた事もあります。
友人も有名大学出身です。
そう言う人達に頼んだら!と、言って見ます。
「親しい人は死んじゃった!」と、言ってます。
職場の先輩、後輩は??と、尚も問い詰めると、
「かっこう悪いから嫌だ!」と、言います。
「貯金は無いの」と、聞くと、少しは有るけど、と言います
「じゃ、崩しなさい」と、進めます。
「将来に取って置きたい」と、言います。
何だろうね。自分勝手な論理です。
だんだん腹が立って来ます。
「もう貸さない!」と、怒ってしまいます。
「さっき貸すって言ったろう!」と、友人も怒ります。
「じゃ!貸すよ。取りに来なよ!」で、電話を切ります。
嫌な感じの残る一日でした。

東京でどんな生活をしてるのでしょうか?

病院に来ないの?!

僕のホームドクターは、二百メートルぐらいの
近くに出来たクリニックです。
トレ君もドクターに可愛がってもらっています。

 今日は大きな中央病院にCTを撮りに行きます。
ドクターさんが予約をして。トレ君の事も頼んでくれます。
でも、僕は一人でタクシーで行きます。
早速受け付けで、「ワンちゃんは?」と、言われます。
置いて来たんですよ!と、言うと、
「皆、待ってたんですよ!」
「街で見かけるけど、今日は会えると思ってたのに!」と、とても不服そうです。
ガイドの係りさんが来ます。「ワンちゃんは来てないの」
と、引継ぎです。ガイドの係りさんはCTの窓口で、
「ワンちゃんは来てません」と、受付です。
CTのナースさんに連れられて、
造影剤を打つため点滴ルームに行きます。
そこでも「ワンちゃんはきてませんから!」と、
受付と引継ぎです。
わー、何だかトレ君を連れて来なかったのが、
悪い事をしたようです。
盲導犬来院は、開業以来、初めての事件だった様です。
「点滴が時間がかかるので置いて来たんですよ!」
点滴も終わり、二つの撮影も終わり、
迎えのガイド係りさんが来て玄関に送られます。
其の間、ガイドさんはトレ君の事ばかり聞きます。
「25日のテレビ見てね!」と、宣伝します。
「見ます!見ます!」と、時間をメモってます。

トレ君、中央病院デビューの日は
アーチで迎えてくれるかも?!

放映日

僕の手紙が番組に成りました。
見て頂きたいので案内させてください。

   「日本巡礼」
あなたの心にひびく場所‐土佐入野海岸

・九月二十四日(金) BS2
夜 十一時半から十二時

・九月二十五日(土) BSハイビジョン
夜 九時半から十時

目の障害の事、これまでの人生
失明の恐怖から解放された海岸の光景。
一週間ものロケを経て、描きだして頂きました。

編集完了!

16‐ロケの旅 乾杯です!
プロヂューサーさんから褒められた!と、
ディレクターさんは嬉しそうです。
あらかたフィルム編集ができたところで、
プレゼンテーションをしたところ受けが良かったのです。
でも、僕はあんまり其の話に乗れません。
出ている自分の事が気になります。

放映日が決定したと連絡です。
九月二十五日 夜九時半から、BSハイビジョンです。
世界網膜の日に合わせた形に成ります。

九月三日です。編集完了との事です。
「日本巡礼で 一番の大作だ!力作だ!」と、
ディレクターさんは自慢げです。
それでも僕は「恥ずかしいな」と、言ってしまいます。
「そんな事は無い、いいんだから!」と、
ディレクターさんは諭すように言います。

今、考えると、もっと完成を感激して上げるべきだった と、思います。素直に喜ぶべきでした。
今年の、酷暑の夏、懸命に作って頂いた僕の番組です。
JRPS本部にも行って話しを聞いて
RPの事も調べてくれました。
中途障害の困難も考えてくれました。
希望を持って生きようとする姿も捉えてくれました。
わだかまりが、すーと消えていきます。
恥ずかしいとか、自分の意図と違うとか、
もうそんな事はどうでも良いです。
折角ですから、なるべく沢山の人に見て欲しいです。
其の頃、夜空には、あの海岸のロケから一ヶ月、
再び巡って来た月が輝いています。

九月十日です。
「完成した!」と、ディレクターさんから連絡です。
スタジオ収録も終わって、放送準備完了です。
東京と四国、会って祝杯ともいかず、互いの心で
「か ん ぱ い」です。長いご苦労に「ありがとう」です。

これでロケの旅を終わります。最後までお付き合い
有難う御座います。では テレビで会いましょう。ワン吉

がっくりしてる場合か!?

15‐ロケの旅 編集開始
ロケが終わって気が抜けて
寂しさ気分がプラスされます。
八月になって連日猛暑です。
暑い、熱い、あつーいです。
音も無く扇風機が停まり動きません。
扇風機使いすぎでストライキです。
いや、もう壊れてしまってます。あーがっくり

秋に小学校の同級会が有ります。
トレ君と暮らしているところを皆さんに見てもらおう。
参加で申し込みます。
「ホテルが盲導犬宿泊拒否で」と、
幹事がやって来て言います。
「ペットショップに預けてくれ」と、言ってるやしいです。
それでは参加の意味が無いので、止めます。
あー、まだまだ理解が有りません。がっくりの二乗です。

そんな手持ち無沙汰とがっくり気分の続くなか、
暫くディレクターさんから連絡も無しです。
えー、我らの番組はぼしゃったのでしょうか?
お盆の終わった頃です。
「お仕事でインドに行ってました」と、ディレクターさんから
メールが入ります。
ガンジス川の沐浴に参加してきたとの事です。
其の時、僕の入野海岸での気持ちが分かったそうです。
がっくり気分が少しでも良くなります様に!と、
メールを結んであります。

それから編集作業が始まります。
一週間 撮りつづけたフイルムを
三十分番組に仕上げていくのです。
夜の九時頃電話が有ったりします。
夜中まで仕事は続くのでしょうか?
「ワン吉さんの顔が映ってますよ!」と、言ってます。
インタビューのシーンの編集でしょうか?
勝手な事を話しました。どんな風に繋いでいくのかな?
「大変ですね」と、言いますと、
「たのしみでもあるんですよ!」と、言ってます。
僕もがくりしている場合では無いような気がしてきます。

再び挑戦!

14‐ロケの旅 えっ!また行くの?
今日は七月三十日 金曜日です。
あれーっ!、昨日 帰ったはずのロケ隊が、
今日の午後、我が家の庭先に現れます。
天気がねとても良さそうだから!
次のロケ先の徳島から引き返して来たのだと、
ディレクターさんが言ってます。えーっ!今から
もう一度、高知の海岸まで行くのだそうです。
そうですね。三日間のロケの間も晴れてはいたのですが
梅雨明けの湿気た空気が景色を白っぽく光らせて、
薄い霞がかかったような感じでした。
凄い!完璧な映像を求めて、もう一度挑戦するのです。

あれ、れ、今日はスタッフさん、皆さん同じ
「I LOVE NHK」と、書いた帽子を被っています。
何だか嬉しそう!音声さんが作ったのだそうです。
嬉々として、入野海岸に向かって出て行きます。
「いいなぁー!僕も行きたくなります」
六日間の一緒に過ごしたロケがなつかしくなります。
おしゃべりとか、
分け合って食べた夕食など思い出します。
ずーっと僕も一緒だったので、一人残って寂しいです。

最後のインタビュー!

13‐ロケの旅  最後のインタビュー
今日は七月二十九日 木曜日です。
ロケが始まって六日に成ります。
ディレクターさんがどうしても
食事場面が欲しいと言うので、
朝食を作って食べてるところの撮影から始まります。
旅番組なのに障害者番組に成ってます。
こう言うの嫌です。すっきりしないまま
もう一度、僕のインタビューです。
六日前と同じ服でお願いします!と、言われます。
わーっ!洗濯籠に放り込んだままです。

インタビューが始まると、庭の蝉の声が凄いです。
六日前は梅雨明けまじかで、
まだ蝉が鳴いてなかったのです。
音を遮断する為に窓を全て閉めます。
エアコンや扇風機の音も駄目だと止められています。
わ、これではサウナです。
あっ!駄目だ!隣の小学校から、
吹奏楽の朝練が、プウチャカ始まります。
あー、暫し休憩、お茶タイムです。

そのうち、外が暗く成って雨に成ります。
照明さんが窓からライトを照らし、日差しを作ります。
朝練も終わったようなので、再びインタビュー開始です。
バッチーンと、火花が飛ぶような音がして真っ暗です。
ライトの点け過ぎでブレーカーが落ちます。
何だかドタバタした気分のなかのインタビューです。
「では、最後の質問です」、やっと全てが終わります。

「撮影が終わったら、打ち上げ食事会をしましょう」と、
ディレクターさんが言っていたのに、
片付けが終わると、さーっと帰って行ってしまいます。
え!何。

がっくり気分が・・

12‐ロケの旅 意図は通じない!
今日は七月二十八日 水曜日の朝です。
ちょっと小雨が降ってます。
帰りはディレクターさんが運転するレンタカーです。
高速がどんどん西に伸びているので、
あっ!と、言う間に四国中央に、昼前に到着です。
三日間、地中海料理でしたから、
折角ですから、今日は瀬戸内料理です。
人気の讃岐うどんを食べに行きます。
わー、まだ昼前なのに駐車場がいっぱいです。

午後は我が家で、アルバムから僕の歴史を撮ります。
あ〜、アルバム、見つかりません。
大きくって、黄緑色の布張りの、と説明します。
有った!ディレクターさん、さすがです。
本棚の隙間から探しだします。
それから、いろいろ作品の撮影です。
自分で気に入ったのを撮ってもらいたいのに、
もう、小さな写真や絵は自力で見えません。
選ぶ事ができません。
写真にしても絵にしても、勝手に撮られていきます。
見ていると、だんだん寂しく成ってきます。
自分の人生を変えられているようで辛くなります。

こんな事なら、番組の中で、
僕の手紙を読まれる程度でよかったかな。と
思いはじめます。
海岸の光景の撮影も僕の意図は通じてますか?
僕の「こころに響く場所」が、表現されたでしょうか?
ディレクターさん達が
懸命に作っていてくれるのは分かるのですが、
此処に来て、僕はがっくりと落ち込んでしまいます。