今朝は幾分か涼しかったので、
庭の草引きをしました。
父親の生きてた頃は草引きも
全然しなかったです。
それでも今より随分綺麗でした。
時が来ると、たとえばお盆、お祭り、
何時の間にか、父が草を引いて、
庭木の刈り込みをしてくれています。

これが自分でやってみると、
まったく切が有りません。
引いたかと思ったらもう生えてます。
切ったかと思ったらもう伸びてます。

今週、来週、友達が遊びに来ます。
ちょっと片付けなきゃと思うのだけど・・・
父が居ると、黙って
その辺を見栄え良く片付けて、
庭なども掃き清めてくれてました。

お盆が近づくと思い出します。
いや、我が物顔に繁った草木を見ると
「お父さん」と、叫んでしまいます。

暑くっても、寒くっても
スーパーに行って休憩場の
ベンチに座って時間を潰します。
そんな感じに、
あっち、こっちに、ぽっんぽっんと、
おっちゃん達が座っています。

話しかけられたりします。
奥さんに先立たれた人が居ます。
「犬を飼いたいけどな」と、言います。
「息子の嫁がな」と、言います。

一人暮らしの人が居ます。
「脳梗塞で倒れて働けなくなった」と、
言ってます。一人暮らし大丈夫？
最近あった、近辺の自殺した人達の
あれこれ話してくれて、
「おまえはするなよ」と、言われます。
えーっ！おっちゃんは？？？

スーパーのベンチは
ホームレスまではいかないが、
ファミリーレスの指定席ですか。

僕はトレイス君のお陰で
子供や若い女性にも声を掛けられます。
トレイス君が居なかったら、
ぽつんと座って居るおっちゃんです。
ファミレスの仲間入りです。

早朝から蝉が忙しなく鳴いています。
梅雨が明けないのに、
夏が半分過ぎてしまいます。

隣りのばぁちゃんが来ます。
トレイス君、飛び出して
いち早くお出迎えです。
術後なので抱きついたりはいけません。
「トレイス君、我慢！我慢！」
良い子のトレイス君は玩具箱に
我慢棒を取りに走ります。
玩具箱に頭を突っ込んで
ガサゴソ、ガサゴソです。ガシャン！
玩具箱の倒れる音がしています。
我慢棒が見つからない様です。

走って帰って
ベットの所を捜しています。
それでも見つからない様です。
ばぁちゃんが未だ居るのに、
トレイス君は帰ってきません。

あれーっ！トレイス君、ベットで寝ています。
トレイス君も早くもきましたか？健忘症、犬棒症？
冷蔵庫の前で立ち尽くす我らの様に。
今、自分が何をしてるのか忘れましたか？

「トレイス君、ばぁちゃん帰るよ！」って、
ベットルームに呼びかけると。
「うーん　なーん」って、
とぼけた顔で出てきます。

忘れんボウのトレイス君、
我慢棒は布団の下に有りましたよ！

「私の旦那にもこんなの欲しいわ」
って、女性の方が言ってます。

トレイス君はお客様が来ると
嬉しくってはしゃいでしまいます。
はしゃぎすぎると、
「はい、我慢、我慢して」と、
イエローカードを出します。
トレイス君は大急ぎで
自分の部屋に跳んで帰って
おもちゃ箱に頭を突っ込み
我慢棒を探し出し、咥えて来ます。
そして、我慢棒を咥えったまま
「うー、うー」と、甘えるのも我慢します。

でも、我慢棒が必要なのは
旦那さんだけですか？奥さんは？
と、トレイス君が言ってますよ！

土曜日の花火大会が順延で、
日曜の夜に成ります。
「午後８時より開催します」と、
市民放送が有ります　が
雨降ってます。
午後に成っても弱く
あるときっは強く降ってます。
大丈夫かね。
夕食が終わって７時が
過ぎても、まだまだ降ってます。
「こりゃー　駄目だぁー」

ドン、ドン、ポン、ポン、バリバリ
えーっ！カミナリ　と、思うほど、
地響きを立てて、激しい音です。
８時前ですが突然　花火が始ってます。
「雨は？」と、思って外に出てみると、
何と上っているではないですか！
「じゃじゃ！」と、直ぐ先の所まで
トレイス君と見に行きます。

ポン、ポン　音はするのですが、
見えません。
花火の前に煙の幕が出来てます。
花火が上ると。
その辺りが、もやもやもやと
明るく成るだけです。
何だか狸に化かされているようです。
風はこっちに吹いているので、
音ばかりが鮮明に聞こえますが？？

冷蔵庫を開けただけで
トレイス君は飛んできます。
「今夜は何作ろうかな？」と、
一緒に覗き込みます。
野菜は？肉は？
「何が出来るかね」と、
どんどん首を突っ込んできます。
「はい、はい邪魔だから後に下がって」
と、言っても
「俺も手伝うよ」と、
離れてくれません。

今度は流しの前を占領です。
包丁を落としてしまわないか、
沸騰したお湯が掛からないか、
とても心配です。
「トレイス君お願いだから
　あっちで待って」と、言っても
調理にあれこれ、無言の注文で
そこを動きません。
流し台の扉を開けると、
トレイス君の頭にゴンです。
今度は冷蔵庫の前に引越しです。
冷蔵庫を開けられ、またゴンです。

「はい、いちょう上がり！」
野菜炒めができあがります。
「どれ、どれ味は」と、
トレイス君はテーブルに着いてます。
「あれー　お皿から溢れているよ」
「匂いは良いけど、盛り付けが」
「指にマヨネーズが付いてるね」と、
我が家のコック長は細かくチェックです。

生憎　この辺りは曇天です。
お日さまは見えてません。
「どれ、どれ」　テレビでと、
テレビを点けます。
わー、日食が始ってます。
外を見ると、この辺りも、
沈み込む様な、ひんやりした
暗さが漂い始めています。
あの黒い雲の向こうで
お日さまが確実に欠けて
行ってるのでしょうね。

すると何処かで
のんびりしていたトレイス君が
カツ、カツ、カツと爪音をさせて
帰って来ると、「はい！お休み！」と、
ベットに潜り込んで寝てしまいます。

日食の時の動物を観察しましよ。
「はい、暗くなったので寝ました」
うーん　でもトレイス君は疑問です。
ご飯が終わると寝ます。
お客さまが帰ると寝ます。
散歩が終わると寝ます。
取り合えず、一日中寝ています。
確実な反応と答えていいのでしょうか？

森では、日食が始ると、
動物たちは不安で騒ぎだすと、
聞きましたがね？？

・東京にて・・・５
大きな耳のトレイス君、
長ーく垂れて、耳穴を蓋しています。
それで耳が悪くなって仕舞います。
特にこの梅雨時はいけません。
蒸れて黴が発生しています。

東京に行く前はとても酷かったです。
あっ！出発前に薬が切れます。
トレイス君　大丈夫かな！
列車の中、ホテル、レストラン、
取りあえず座っている時は
耳を立ち上げ　外の空気を入れます。
「洗濯ばさみで挟んだら」と、言われます。
そうですね。長い耳を頭の上で
結んで置きたい感じです。
トレイス君、驢馬の耳の様に起っていると
良いのにね。

「さあさあ！病院に行こうね」と、
帰省して、トレイス君を見ます。
旅の疲れも有ってどんなに酷く成ってるでしょう？

「あ、れ、れ、」　綺麗です。
治っています。
耳の引っくり返しが良かったのか、
東京の空気が乾いていたのか、
エアコンの中が長かったからか？？
取り合えず、良かった！良かったです！

・東京にて・・・4
３日目、今日は帰る日です。
少し時間を取って、
深い緑が広がる庭園を散策です。
梅雨が明けた東京ですが、
其処には　ひんやりした空気が
静かに漂っています。
３人ぐらいで抱えなければ
いけないほどの巨木が取り囲み
都会の喧騒からも離脱させてます。
此処は旧宮家の庭園です。
「うーん、金持ちは良いね」
広い芝生の庭でトレイス君は
思い切りドッグランです。
上品なトレイス君は
「宮家の庭園が似合うね」と、
言われます。だのに
「手入れが大変だよ」と、
連れが言ってます。
庭の手入れを考えなければいけない
程度の金持ちは嫌ですね。

門衛所跡のカフェで休憩です。
広い歩道に面したテラスで
冷たい物を頂きます。
此処は日本でしょうか？
深い緑から吹く風も
差す光も北欧です。
「自然の風って気持ち良いね」
目の前を白い馬車が
走って行くような錯覚です。

そうだ、
我らのホテルから
もうヨーロッパでした。
宮家の庭園は西欧の古城です。

東京にて・・・３
ホテルは花嫁の父である
我が友人と同じ部屋です。
花嫁の母は花嫁と一緒です。
最後の夜は川の字に成って
寝れば良いのにね。
我らコンビ、トレイス君が心配で
介助の為べつべつの就寝です。
その点は申し訳ないです。
　
トレイス君飛び起きて、
「わー！今の何っ！」と、
鼻で突いて僕を起こしています。
ギリギリギリー、ゴーゴ、ゴ、ゴウ
耳に響く凄い音です。
「歯軋りがあるよ」と、聞いては
居ましたが、こ、こ、こ、
こんなに凄いんですか？
製材所に居るような、
鉄工所に居るようなそんな感じが、
大きく成ったり、細くなったりして
深夜のホテルの部屋に響くのです。

それでも旅の疲れか
浅いまどろみが有ります。
古いアールデコ調の
建物の入り口に居ます。
すると、髪の長い男が
上から僕を目掛けて
箱を落としてくるのです。
「やめろー！」と、叫びます。
その自分の夢の叫び声で目覚めます。
「なに！なに！なに！」と、
トレイス君は飛び起きて
鼻先で突っついてきます。

それでも花嫁の父の歯軋りは
ぎりぎり　ぎりぎり続いています。。
愛する娘を嫁に遣るのが惜しいのか？
可愛い娘を婿に取られるのが悔しいのか？
嫁入りには沢山のお金が掛かるのが
苦しいのか？何故に歯軋りは止まりませんか？

また、少しまどろんだ朝方です。
ぐぇ。ぐぇ。ぐえ　「なになに」
わー今度はトレイス君　吐いてます。

あー、空は白んできます。
ぎりぎりぎり、うーん眠れない！
ぎりぎりぎり　皆で歯ぎしりです。