月別アーカイブ: 2010年7月

八年前の海に!

取材三日目の朝は、
五時十五分の日の出を目指して、
未だ明けない、暗い道を、
八年前の感動の海に向かって歩きます。
全然、知らない見当のつかない暗い道ですが、
トレ君は勇んで歩きます。
分岐路が有ると、後からディレクターさんから
「右、左」と、指示が出ます。
大きな松林に差し掛かります。
八年前は白杖で苦労して歩いた道です。
今日はトレ君が頑張ってくれます。
でも夏の林は蜘蛛の巣が多いです。
蜘蛛の糸が顔に絡んで気持ち悪いです。
二つ目の松林を貫けて海に出ます。
波の音が響いています。でも
僕の目には、砂浜も波うつ海も、空も
ただただ暗いばかりで、何も見えません。
八年前の輝く海は見えません。

黒い防風林の向こうは、押し寄せる太平洋

三日目の朝の四時四十五分は
未だ夜は明けず、
二、三の街灯の明かりが見えるだけです。
それなのに,やばい、闇の中から散歩犬が来ます。
暗い中にウグイスが鳴いています。
八年前も鳴いて多用な。この辺りの誰かが飼育していると
友達から聞いたかな?と、思い出します。

少し、東の空が透けてきます。
8年前の感動の出会いに出発です。
暗い道をトレ君は力んで導きます。
8年前は、ぎこちなく白杖を突き、舗装の窪みに
先を取られたり、ガードレールに当てたりしながら行きます
直ぐモリモリと繁った松林の防風林行き当たります。
厚い、深い、絡みつき、襲い来るような松林です。
僕の細い白杖は、情けなく曲がり折れそうです。
八年前は吹きつける寒風に、松林はざわざわと
不気味にざわめいています。
辛かった過去が追いかけてくるように
失明していく僕を脅かすように、鳴っています。
恐々与太りながら歩いて松林を抜けると、
砂地のラッキョ畑に出ます。
また、直ぐ前に松林が広がっています。
初めの松林に比べ、幾分か若木の、
ざわめきも軽い松林です。
松の根っこや雑草を白杖で避けながら
足元ばかりに気を取られ、必死の思いで
歩いて行きます。
ふっと前方に明るい光と、清清しい風を感じて、
顔を上げると、もう松林はおわり、
目の前いっぱいに煌いて波立つ海が広がっています。
わっ!と、驚きの声を上げ、その場に立ち尽くします。
「海だ!」と、叫んで白杖を海に向かって突き刺します。
海は映画のスクリーンのように、歌舞伎の舞台のように、
色鮮やかに、幾重もの波頭が押し寄せています。
其の景色は、強い太陽の光が当たり、
きらきらと輝き、激しい波音も伴っているのに、
どこかステージの上の出来事に記憶します。

再びトレ君と来た感動の地は・・

夜中の2時から・・・

取材が始まって、三日目の朝。
日の出の海岸風景を撮ろうと、日の出前、4時45分集合との事です
わー!起きれるでしょうか?

長旅で疲れていたのか、昨夜は食事をして風呂に入ると、
バタンキュで寝てしまいます。
夜中にトレ君が、冷たい鼻でつんつんしています。
何々 何!夜中の2時ではないですか?
わっ!寒い!冷房付けっぱなしで寝てしまっています。
それでトレ君、おしっこしたくなったのでしょうか?
寝る前に外でさせたのですが・・・
とりあえずおしっこをさせます。冷房も停めます。
それでもトレ君落ち着かない様子・・ハテハテ
あ、そうだ寝てしまって
夜食上げるの忘れてました。お腹空いたのかな?
もう朝も近いので、ちょっとだけ上げます。
トレ君、やっと落ち着いて寝ます。

そうだ!寝過ごしてはいけない、と、
目覚めたついでに、僕は髭を剃ります。
今日はメインの取材日です。
朝着る服も準備Okです。
少し寝ておかねば・・・
うと、うと と、下処でディレクターさんから
モーニングコール、4時15分過ぎです。
急いで準備です。トレ君はスースー鼾です。
トレ君に朝のトイレをさせなくちゃ!
あ!部屋にディレクターさんがお迎えです。急いで急いで!!

メルヘン列車!

窪川で特急列車から、
長々と工事中の様な所を、
猟師さんぽい駅員さんにサポートされ、
黒潮鉄道の各駅停車に乗り換えです。
わー、何か変な感じ、バスのようですが、
見渡すと、360度に窓が有ります。
走り始めると、空を飛ぶ猫バスに乗ってるみたいです。
高原の景色から海辺の景色に変わります。
快晴だともっとさわやかでしょうか?
なかなか素敵なロウカル線です。

薄暗くなった夕刻、入野駅到着です。
ホテルの迎えの車が来ています。
以前モーニングを食べた瀟洒なリゾートホテルです。
今日はもう撮影無し、
スタッフさん達とパーティーの様な夕食を楽しみます。
でも、明日は早いんだって!!

6日目に成ります!

29日の朝です。
撮影が始まって、もう六日です。
どうしても朝食の場面も欲しいと、
朝から撮影です。
25日の朝の散歩に続けるのですが。
25日の快晴の朝に反して、今朝は雨模様です。
NHKさんはライトで爽やかな朝の日差しを演出です。
わっ!ひさしが西から当たっています。
NHKさんの威勢は太陽も西から上らせます。

障害者番組ではないので、食事のシーンは嫌だ!と、
拒んでいたのですが、
視力障害者の生活も伝えたい!と押し切られます。
何だか「キラリ光る」の障害者番組と重なりそう。

25日、土讃線の池田駅に向かってワゴンタクシーは
大きく広々として、外の茹だるような暑さに反して、
とても快適!途中の峠で昼食です。
駅には早く着いたので、外は余りに熱いので、
タクシーの中で待たせて貰います。
時間が来て、タクシーを下り、
改札で駅員さんにサポートをお願いして、
列車に乗り込む処も撮影です。
列車は夏休みで、子供連れで混んでいて、騒がしいです。
車窓は土用曇でどんより重い風景です。
インタビューが始まりますが今一乗れません!

まだ続く!

高知入りした25日から三泊四日の旅から帰りましたが。
今日は子供の時から写真撮りです。
それが終わると若い時から野の絵を撮ります。
それから明日もまだまだ続くのだそうです。

24日は物凄い暑さの西日の中で
大きな作品の撮影もしたので疲れました。
25日は午前中、インタビューです。
感動した旅!の話しを聞かれます。
昨日も話したかな?と、思いつつ、
躊躇や逡巡で段々、混乱してきます。
質問や話している内容も忘れて、
とうとう言葉も失います。

昼前にワゴンタクシーを呼んで、
土讃線の池田駅に向かいます。
さ;あ!旅は始まったのですが!
熱い!だるい! 眠い!
夏の旅はだらけそう!

いいよいよ取材開始です。

「早いです!」
朝ごはんの時、「今、羽田です」と、電話があったのに、
常食が終わって、メールチェックなどしていると、
「到着しちゃいました!」と、電話です。
飛行機で来ると早いです。

まずはヘルパーさんと
買い物に行くシーンから始める予定なのに、
ヘルパーさんが未だ来ません。
NHKの皆さんに、取り合えず
冷たいお茶でもと思うのですが、お茶はヘルパーさんが?
早く来い来いヘルパーさん!

ちょっとの取材なのに、いっぱいの機材です。
がたごと引っ張って来ています。
トレ君はディレクターさんとは二度目です。
覚えているのか嬉しそう!
そして沢山のお客さんで大はしゃぎ!
皆さんお仕事だから!と、言っても聞きません。

ヘルパーさんも到着、お茶をだして、
買い物風景取材です。
あとで「トレイス君、あっちこっちと
美味しい物、くんくんしてたね」と、ディレクターさんが。
トレ君、そんな様子がテレビに映ると、
「再教育だ!」と、訓練所に呼びつけられちゃうよ!

其の後、西日の当たるアトリエ、冷房の無いアトリエで、
皆さんも僕も、汗にまみれて取材続行です。
僕の生い立ち、病気の進行など、
夕方までびっちり聞かれます。
ちょっと、ちょっと、之って旅番組じゃないの?
何だか、違う番組の取材ではないですか??

では やっと旅立ちです。

もし父さんが生きていたら、母さんが・・

今日から我が家でテレビのロケです。
父さんが生きていたら大慌てです。
庭の草引き、植木の整備に頑張って、
テレビ出演は息子の名誉と勇んでロケ隊を待ちます。

父さんが生きていたら、
NHKの皆さんに食べていただくんだ!と、
立派なスイカを買い込んで
朝から冷たい井戸水で冷やしているでしょう。

母さんが生きていたら、
如何しよう!如何しょう!と、慌てるでしょう。
こんな晴れがましい席は恥ずかしい!と、
映らないようにと隠れるでしょ。

父さんが生きていたら
自分の兄さん姉さんに電話を掛けるでしょう。
9人の兄弟全部に電話を掛けるでしょう。頑張っている息子を見てやってくれと、自慢げに皆に言うでしょ。
紅白歌合戦に出たような騒ぎになるでしょう。

母さんが生きていたら言うでしょう。
いつも溝に落ちた僕を知ってる母さんは、
「トレちゃんが来て良かったね!」と、言うでしょう
「テレビに出れて良かったね!」と、言うでしょう。

今日から五日間のロケです。
どんな番組になるでしょうか?
父さん母さんに見て欲しい!
一緒にテレビに出て欲しい。
心配ばかりさせていた父さん母さん、ご免
海に向かって叫ぶかも知れない!
お母さーん と、泣くかも知れない!

ロケ隊がそろそろ到着です。
心からテレビ出演を喜んでくれる人は誰も居ない?
かもしれないが。テンションあげて。
天国に届けと頑張りましょう。

何が巣くってますやら??

六月初めごろ風邪を引いて。
熱を出し、下痢をして、
体調を崩したまま一ヶ月以上経っても、
なかなか治らず、如何したものかと思います。

でも、ここ2.3日は、取材旅行の準備で慌しくしていると、
結構、腹の具合も楽に成ってます。
薄紙を剥がすがごとく楽に成ってます。
病気が治る時ってこんな感じですね。
でも完全復帰ではないので、明日からの旅行に備えて、
昨日の夕方、病院へ行きます。
薬も切れそうなので貰います。

「あーぁ!これは取った方が良いね」と、
ドクターさんがエコーの画面を見ながら言います。
余り長引くのでエコーを取ったのです。
胆嚢に石や泥が溜まり過ぎてるとの事です。

そうなんです20年近く前ですが、
毎週、毎週、キリキリ痛む胆嚢炎に
悩まされていた時期が有ります

「次に痛むようなら手術しよう」と、
ドクターが言ったのです。
でも不思議、其の日から今日まで
一度も痛まなかったのです。手術が怖かったのでしょうか

「此の侭 放って置くと大変な事に成る。と、
ドクターさんが言うのです。癌に成るかもというのです。
気持ちが悪いから取っちおうか!
取材旅行が終わったら胃カメラです。
初体験です。胃は大丈夫かね!!
変な物が巣くってませんかね!!

そろそろ・・・

テレビ局から最終打ち合わせの電話あります。
「何とか天気も良さそうで!」と、
ディレクターさんが言ってます。
「えっ!」 メインの現場ロケの月曜日
曇、所により雨の週間天気予報だったような??
ディレクターさん何処の予報を見たのでしょう。
予備日に取ってある火曜日は後、晴れです。

そんな風に日程が近づいて来ると、ドキドキ
ハラハラして来ます。
ちょっと気もそぞろで、昨日は弁当を落とします。

女友達に見てもらって、準備です。
着たきり雀ではいけないから、この服も持って行ったら、
撮影はこれ、ホテルの部屋ではこっち、
この暑さ、下着の着替えは大目に、
トレ君にも着替えや敷物、毛を取るコロコロもいるかな!
わっ!三泊四日の旅行は山の様な荷物です。
海外旅行に行くほどの荷物です。

それにトレ君のフードこれを忘れては、トレ君泣きます。
一回分は余分に持っていないと、何が有るやら・・・
テレビのスタッフさんたちも、カメラや音声、照明、
それぞれの機器や器具が有って、
撮影しながらの旅で当てになりません。
やっぱり、ひと荷物ホテルに先送りしなくっては。

ディレクターさん
「トレ君のフードぐらい担いでいきますよ!」と、
言ってくれてはいたのですが、
登山用のリュックでも無ければ駄目でしょう!