月別アーカイブ: 2010年1月

隣のばぁちゃん闘病記・今年は春から縁起が良いわ!

2010年1月6日です。
隣のばぁちゃんは癌センターへ定期検診に行きます。
数日後です。
「もう治らないよ”って、言われてるんよ」と、
僕にしんみり言います。
リンパに転移しているので完治は難しいのです。
「でも、ほら、そういうのって分らないだろう」と、
曖昧に答えるしかないですね。

そんな事もあって、ばぁちゃんは
「今、出来る事はしておきなさい」と、
ドイツ・チェコの旅も背中を押してくれました。
「私も、もう一度何処かへ行けるかしら」
「ハワイぐらいは行って見たいわ」と、言います。
ばぁちゃんは、新年からフラダンスの練習に行き始めます。
「立って踊れないけど、手振りだけでもね」と、言ってます。
気力があれば自己治有力が沸いて治るかも知れません。

でも 一月も後半になって、
「あら!今年は春から縁起が良いわ!」と、
隣のばぁちゃん”笑顔です。
一番上の孫が公立大学に推薦かもです。
二番目の孫が。高専に推薦合格です。
三番目の孫が京大、阪大コースに入れます。
四番目の孫が公立の中高一貫校に合格です。
うーん、皆凄い!
併せて、僕の随想の受賞です。
「本当に良い事つづき」と、晴れやかです。

「春に成ったらハワイは無理でも羽合温泉には行きたいわ」
と、早くも計画です!!

チェンジ これからの10年に期待!

83‐やっと帰宅です。
成田エックスプレスに乗り込みます。
ちょっとドイツの車両に似て堅牢ですか?
落ち着いてトレイス君にフードを上げて
水も上げます。長い時間待たせましたね。
トレイス君はすっかり安心で、
フードがっがっ、水がぶがぶ飲みます。
斜め前の方が「おりこうですね」と、言ってくれます。
あ!僕の朝の薬も忘れてます。其れも飲みます。
車内販売が来ます。もう一本、水を買っておきましょう。
満腹のトレイス君はそれではと眠りの態勢です。
「おとなしいですね」と、また声が掛かります。
車窓を流れて行く風景も長閑で、穏やかな旅情です。

「私もパピーウォーカーしてるんですよ」と、
新幹線の乗り換えエレベーターの中で声を掛けられます。
北海道旭川の優しい感じの女性です。
美人だからか、ワンちゃんの匂いがするのか?
トレイス君、気に成る様子です。

新幹線に乗り換え、横浜駅が過ぎた辺りで
デッキでトレイス君のワンツーです。
新幹線はガタゴト言うし、人が来たりするので、
以前は出来ませんでしたが、今回は上手に出来ます。
同じ車両に車椅子のご主人と奥様が乗っていまして、
奥様が「ほら大きなワンちゃん」と、ご主人に見せたり、
「優しそうで綺麗な」と、褒めてくれたりです。
トレイス君もお二人に和んで居ます。

岡山乗換えもスムーズに行って、
夕暮れに無事帰宅です。
「良かったよ!無事に帰れて」と、
隣のばぁちゃんがトレイス君を抱くように迎えてくれます。
トレイス君は「大変だったよ」と、
体をぶつけて訴え、甘えます。
日本も寒波です。「冷えた体に!」と、
かす汁を差し入れです。心に浸みる温かさです。

「ドイツ・チェコのクリスマスは如何だった?」とは、
会う人も、電話でも、メールでも、誰も聞きません。
「あー!よく行って帰ったね」と、
無事の帰宅の祝福ばかりです。
では ドイツ・チェコのクリスマスを終わります。

PS。何だったのかな?此の旅行!
視力が悪化していく中で、見えてる間の思い出と、
見えない旅に楽しみが見つけられるかと、参加した旅です。
思い出すまま全旅程を振り返ってみました。
長々と書いてしまい申し訳有りません。
読んで頂いた方有難う御座います。
沢山のエールも嬉しかったです。
此れが、より良い此れからの四冊目のパスポートの10年に
転換出来れば、幸いと思っています。ワン吉

携帯電話が・・

携帯電話の電池が有りません。
何処にも電話出来ません。
無事の帰国を知らせる事が出来ません。
みどりの窓口まで送ってくれた添乗員さんに携帯借ります。
取り合えず隣のばぁちゃんにだけでも電話です。
ばぁちゃんも、僕らは帰っているはずなにに
携帯がつながらず、とても心配していました。「ご免」です。
「あっ!東京駅で友だちのSさんが待ってる」と、
電話有ったよと言われます。
そうです。大変です。折角、東京を通過するのだから、
仕事を抜け出していくから、せめてお昼ご飯を一緒に!と
言われていたのです。
連絡出来ません。携帯の電話番号はもちろん、
自宅のも友人も、全部、携帯電話に入ってるだけです。
「あー!」と、悲観にくれてる僕を残して、
最後の添乗員さんも「バスの時間ですから」と、
行ってしまいます。万事休すです。

それでは、東京駅に来てくれている
友人達をすっぽかすしか在りません。
事情を話して、みどりの窓口で電話を借ります。
受付の女性は嫌な顔をしましたが、
奥から出て来た男の事務員さんは快く貸してくれます。
「東京駅の友人から電話が有ったら、携帯が使えない事、
夕刻に着くから支援のタクシーの予約を」と、お願いします。

みどりの窓口で四国までの切符の購入です。
成田エッキスプレス、新幹線、瀬戸大橋線と
乗換えが二回あります。誘導介助もお願いします。
切符が出来上がるのを待っていると。
「ワンちゃん良い子でしたね!」と、優しい声です。
美人のお姉さんがほほえみながらトレイス君を見ています。
「同じ飛行機でしたか?」って、聞けば、
「乗務員です」と、答えが、あの水をくれたお姉さんです。
美人は良いですね!言葉にも余裕があります。
「ワンちゃんのおとなしいのに驚いたわ!」と、言ってます。
何だか悪夢から覚めたよう、トレイス君も嬉しそうです。

ど、ど、ど、どーっと日本に着地!

機内に明りがともります。
飲み物のサービスが始り、食事がでます。
日本時間で12月18日の朝です。
ドイツ辺りでは17日の夜半前ですがね?
この食事は?夜食?朝食?分らないな?
すごく軽めのサンドウィッチです。

機体はどんどん高度を下げて
ど、ど、ど、どーぉと、日本に着地です。
ほっ!怪我も無く無事到着です。
それから慌しく身支度して、降りて行きます。
乗務員の皆さん、いい子だったトレイス君に、
とても好意的な眼差しです。

成田空港の最初のトイレの過ぎた所で
ツアーの解散式です。
それより、僕はトレイス君のトイレです。
まだまだ此れから8時間の旅程が有ります。
飛行機会社の人ですか?近くに誰か立っていたので、
トイレを案内してもらいます。
ワンツー終了!やれやれ、安心です。
同時に解散式も終わって、添乗員さんが来てくれます。

ターンテーブルからトランクを受け取り、
皆さんぱーっと、散って行きます。
見えないと本当にマジックの様に消えて生きます。
僕らはもう一つ有ります。盲導犬の検疫です。
プラハでサインを貰った書類を見せ、
マイクロチップの確認です。それで難なく終わります。

そして宅配でトランクを送ります。
そうそう!「無事の到着を」 
ただ一人の身内の隣のばぁちゃんに電話?
あっ!電話出来ません。携帯の電池切れてます!?

トレイス君に感謝と観劇!です。

飛行機が飛び立って6時間あまり過ぎた頃
アイスクリームが出ます。
暑くって乾燥している機内、冷たいアイスは美味しいです。
トレイス君には水を上げます。
「トイレに行けないな」と、思っているのか?
ちょこっと口を付けただけでがぶがぶ飲みません。

機内の一番後ろに連れて行って、少しの隙間で
トレイス君のワンツーします。
大きなトレイス君に驚くオバサンが居たり、
お、お、おっと喜ぶオジサンが居たり。
「盲導犬って初めてだわー、賢そう」と、見詰められたり、
つぎつぎと観客が現れるものですから、
落ち着いて出来ません。やっとでワン・シッコだけです。

ずーっとライトが落とされていたし、ひと眠りもしたので、
全く真夜中の気分ですが、ドイツ辺りの時間では夕刻です。
あのフランス語と日本語のちゃんぽんおちびちゃんは
一度も眠らずおしゃべり三昧です。やれやれ!
一途に眠るトレイス君達を見習いなさい!
子供連れの多いシーズンは飛行機を避けましょうか!

「シベリア上空です」
「あと数時間で日本ですよ」と、
スクリーンに映し出された飛行経路を見ながら、
添乗員さんが言います。
「あー日本に帰れます」
いろいろな事が思い出されます。
いろんな事を耐えてくれた 「トレイス君ありがとう!」
人の心の分るトレイス君、嫌な思いもしただろう!
辛かったかも知れないね。
凍った道は冷たかったろう!
いっぱい我慢して付き合ってくれたトレイス君に感謝です。
涙がこぼれます。何だか泣けてきて仕方がありません。

トレイス君の酸素マスクは・・

今、12月17日の昼です。
日本に向けてスイス航空機が飛び立とうとしています。
乗務員さん、元はスチィアーデスさんて言ってましたが?
その女性乗務員さんが来て、
酸素マスクの操作や救命着の説明です。
それから、また違う乗務員さんが来て、
「ワンちゃんの救命は、その時点で指示に来ます」と、
言って帰ります。えっ!大丈夫ですか!
思わず考えてしまいます。
トレイス君に酸素マスクは在るのでしょうか?
添乗員さんに言います。
「もし非常事態に成ったら僕の事はほっといて良いですから
若い車椅子さんかを助けて上げて下さい」
自分は如何なっても良いが、トレイス君は救って欲しいです。

ウィーンと飛行機はエンジン音を上げて
飛び立って行きます。
我らは耳がキューンと成りますが。
もう眠るに限ると、僕らの足元で丸くなってる
トレイス君はびくともしません。耳の具合は如何ですか?

安定飛行に入ると、飲み物サービスが有ります。
アルコール好きの全盲のお父さん、待ってました、
嬉しそうに「ホワイト、ワイン」と、注文です。
そして食事が出ます。これは昼食?夕食?
食事の片付けが終わると機内のライトは落とされます。
あー、ずーっと騒いで居る子が居ます。
その子の体内時計は午後の自由時間でしょか。寝る気無し。
フランス語と日本語できゃっきゃつです。

さぁ!日本に向けて最後の飛行です。
席まで案内してくれてる乗務員さんが、
「ご免ね、日本語話せなくって」と、言ってます。
「英語とドイツ語とフランス語を話します」と、言ってます。
「犬好き?」と、フレンチで聞いてみると、
「好き!飼ってるよ」「ちちゃいけどね!」と、
大きいトレイス君を見ながら言います。

今度も添乗員さんの頑張りでトレイス君達のスペースが
取られてあります。
先ず左端がユーザーHSさんと盲導犬、
一つ空いてトレイス君と僕、右端が添乗員さん、
四人席を三人で使えます。

「ワンちゃんに」と、座席に落ち着くと、直ぐ、乗務員さんが
水を四本持って来てくれます。あ!二本づつですね。
「ありがとう!」です。隣のユーザーHSに二本渡します。
渡したのにHSは黙って受け取ってブスッとしてます。
わー、嫌な感じ!

通路を挟んで斜め前の窓際の席がO女史です。
ワンちゃんに水が来たのを聞きつけて、
「暑くって、喉乾いちゃった!お水くれない」と、
乗務員さんを呼び止め要求です。
「申し訳御座いません、飲み物サービスは後ほどに」と、
丁重に却下されます。

優先搭乗の我らの後に、沢山の関西弁中年ツアー一行様が
乗り込んで来ます。
勢い良くって、前に後に横にと大声のおしゃべりです。
すっかりO女史は、その騒々しさに取り囲まれてます。
「う、うん」と、咳払いなどして権勢ですが効果無し。
「変わりましょうか」と、添乗員さん声掛けてます。
ヤメテクダサイ!
恐怖女に挟まれた僕は飛行機から飛び降ります。

僕も嫌だけど、怒鳴ったりしたユーザーHSも
居心地がわるいのでしょうか?がさごそ、しています。
そして後の空いた席に行きます。
すると乗務員さんが来て
「貴女達の為に席を用意したのに、
何故勝手な移動はどうゆう事だ?」と、注意です。
「盲導犬が二頭で狭くって!」と、言い訳で納得してもらい、
ユーザーHSの友人のTさんが僕の列に来ます。ほっ!
左側のもやが取れたようで、ちょっと風通し良くなります。

海外最後のトイレです。

チュ-リッヒから成田まで十二時間の飛行です。
トレイス君、今度は思い切りトイレを出しておきましょう。
此処の出発ゲートのトイレは初めてです。
添乗員さん居ませんか?其の辺りには居ません。
目の悪いご夫婦と車椅子さんだけです。

うー、と、辺りをさぐって、
「トイレの場所教えてくれます」と、
同じソファの端っこに座っている人に頼みます。
イタリアに留学中の若い女性です。
クリスマス休暇で日本に帰るところだと・・・
快く案内してくれます。直ぐ近くにトイレは在ったのですが、
「此処のトイレは階段を上って大変だから!」と、
ちょっと向こうのトイレに行きます。
ドアが在ります。ドアを開けて中を覗いて、
「あ!此処も階段です」と、女性は言います。
僕は、何とか成るさ!で階段を上ります。
踊り場が在ってもう一つ上ります。其処にまたドアが在って
やっと、トイレです。
自分を済ませて、トレイス君のワンツーです。
誰かが居るのでゴミ箱の位置を聞きます。
その人は丁寧にゴミ箱だけてなく、
ペーパータオルの位置とかも教えてくれます。

下に降りて行くと、女性が心配そうにドアの外に
待っててくれています。
「帰りは一人で帰れるから」と、言って置いたのに
親切にまだ待っててくれたのです。

不思議のカラクリ

「危ない物は何も持ってませんよ」
それに決して怪しい者では有りません。
「バッグに液体が入ってるだろう」と、
出国検査官が言ってるみたいです。
「あっ、あ、あ」です。
先ほど飛行機の中で貰ったトレイス君の水、
半分残って持ってます。
行きもそうでしたね。此処で水、没収でしたね。

如何しても理解出来ません。
飛行機の中で貰った水です。
それから此処で同じ飛行機会社の飛行機に乗り換えます。
乗り換える間、待合室で待つだけです。
もしかして、待合室の水売り場のオバサンと結託して、
三十ユーロもする高い水を売りつける為ですか??

ぞろぞろ我らメンバーさんは出発ゲートに行って、
ここで一時間以上待ちます。
不思議、ツアーメンバーさんは直ぐ散ってしまいます。
カフェに行くのでしょうか?免税店に行くのでしょうか?
残るのは、目の悪いご夫婦と僕と、車椅子さん、
あっ、車椅子さん一昨日から見ていません。
明るい待合室なので、トレイス君と辺りを探します。
あ!居ました。待合室のソファーの間に
ぽっつんとした感じに居ます。こんなに小さかった?
昨日ユーザーHSさんから「車椅子さん疲れているよ」と、
聞いていましたが、本当に疲労困憊の顔です。
明るい笑顔だったドレスデンの時からは、
半分ほどに成って、しょんぼりです。

・・後で聞いた話しですが・・・
車椅子さんは、一昨日の夜、ホテルの部屋で
こけたのです。それからとても体調悪く成ったのです。
プラハは寒波で冷えてます。体温調節も難しいのです。
其れなのに黙って頑張っています。知りませんでした。
成田に着いて、空港の救護室でひとり、
お母さんが迎えに来るのを待ってたのです」
そんな様子を見たお母さん、大変腹を立ててます。
其の時、O女史は、僕らとトランクを宅配で送って、
「バスの時間ですから」と、さっさと帰って行きました。

トイレでパニック!

巨大な影が段々迫って来ます。
トイレに潜んでいた強盗???
「大して無いけど持っているチェココロナは全部上げるから
命だけはお助けを!」です。
トイレをしているトレイス君と僕を繁々と見ています。
「誰、あなたは誰ですか?」「何か用ですか?」と、
おそるおそる聞きます。顔引き攣っていたのでしょうね。
その男はポツリと「俺、仕事中だ!」と、言います。
わーっ!また失敗です。
トイレの清掃、管理をしているオジサンです。

トレイス君のトイレベルトを外します。
ぽた、ぽた、ぽた。びっくりしていたトレイス君、残尿です。
わー、拭く紙ありません。
清掃の大きなオジサン見ています。
「ごめんなさい」です。「掃除お願いします」と、
飛んでトイレを出て来ます。

「パスポートとチケットの用意して下さい」と、
添乗員さんが言って出国審査です。
また出発ゲートで暫く待ちます。
空港建物内は暑く乾燥していて喉が渇きます。
添乗員さんに水買ってきてもらいます。
一本買って、水が不足すると大変な弱視のお母さんと
トレイス君と僕で飲みきります。

さぁ!搭乗です。一歩でも日本に近づきます。
今回は、添乗員さんの頑張りで、
三席連続の真ん中をトレイス君の為に空けてくれてます。
これで少しゆったりです。
飛び立って眺めたプラハ郊外は真っ白、
雪の中です。地図の様に道路の線が走っています。
飛び立つと、トレイス君に水が来ます。
我らには飲み物とサンドウィッチがでます。
食べ終わったら直ぐチュウリッヒ到着です。

此処でまた出入国検査です。
「もし、もし バックの中見せて下さい」と、
管理官に呼び止められます。「何か?」です。