月別アーカイブ: 2011年11月

トレ君の奇跡‐15

15-二人六脚

 それが、其の夜です。
あんなにお茶目でやんちゃに戻っていたトレ君が、
ちんまりとベットに丸まってます。
元気 無くしんなりしてます。

 トレ君 抜糸でかなり打撃を受けたようです。
それほど痛がってる様子でも無かったが、
肉が巻き掛けたところは肉も引っ張るし、
やっぱり大変だよな!
獣医さんが 手術の辺りは皮膚にダメージがあるから、
炎症、皮膚病に注意して下さい!と、言ってました。
トレ君の傷口をそーっと指でなぞってみると、
ぷちぷちと抜糸の跡と、二度の切開の跡が盛り上がっています。
そして未だ中央部には脹れが残っているし、
交合した部分が瘤状に成ってます。
今のところ炎症は無いけれど
自慢の綺麗な毛並みに戻るのはいつだろう?
トレ君、元どおりに成るのはまだまだです。

 隣りのばぁちゃんがトレ君のお見舞いに来てくれます。
ばぁちゃんは二年前に乳癌の手術をしました。
其の時の手術の跡が、やっぱり未だ瘤に成ってる!と、言ってます。
赤みが取れたのは、やっと最近だ!とも 言ってます。
トレ君も頑張りなよ。我慢して頑張ってよ!

 そして、其の夜はゆっくり寝かせます。
此れでトレ君の手術の顛末記を終わります。
四人のドクターさん始め、沢山の方のお見舞いや
励ましを頂きました。
本当に有難う御座いました。
 此れからもトレ君を見守りながら、二にん六きゃく
互いに力を合わせて楽しい生活をしていきたいと思います。
僕もだいぶ年を取りましたが、トレ君は駆け足で年を取ります。
盲導犬の人生ならぬ犬生を無事全うして欲しいですね。
 此の寒い冬はトレ君の静養させながら、体力も着け、
温かくなったら、楽しいお出掛けをしましょう。
また 皆さんとお目に掛かれる日まで・・・
皆さん いろいろ 有難う御座いました。トレ&ワン吉

トレ君の奇跡‐14

  14-トレ君 復活?

 日曜 月曜 火曜とトレ君の腫れの病状は
薄紙を剥がす様に良くなり、
心配した温泉玉子も不思議と消えていきます。其れに従い
トレ君は厚紙を重ねるように、お茶目でやんちゃになってます。
 先週までは友達が来ても、ベットからちょっと挨拶するぐらいでしたが、
遊んで 遊んで!と、後を追っかけます。
フードが終わっても、未だ何か頂戴って顔をします。
 一ヶ月以上もいじいじとした病気のトレ君でしたから、
もう其れが普通に成ってしまっていました。
あー、トレ君ってこんなに元気な子だったんだ!と、
改めて驚いてしまいます。

 トレ君は、痛いも苦しいも、気持ち悪いの体がだるいの!
とか 何も言いません。
あんなに小さく丸まって静に寝ていた時は
どんなにしんどかったんだろうかと、いじらしくなります。

 16日 水曜は手術から丁度三週間です。
二週間目に抜糸の予定でしたが、
脹れがあったので伸ばしていました。
もう良いだろうね。脹れも引いたし、元気も戻ったし、
動物病院に抜糸をお願いに行きます。
 未だ少し液が残っているけど?と、獣医さんが言います。
だが、糸の周りに肉が巻き掛けているところも有ります。
抜糸をしても傷が開く事は無いだろう!と、言われるので、
やっぱり、本日の抜糸をお願いします。

 糸はピンピンとしたかなり太い糸です。
昨年 僕も抜糸を経験しました。
トレ君の半分も無い細い糸で、三針か四針でしたが、
糸を抜く時は気持ち悪く、引っ張られて痛かったです。
トレ君は十四針も縫ってます。
肉が重なってかなり抜きぬくそうな所も有ります。
そんな時、トレ君はウっとした顔をしますが、
何も言わず、逃げようともせず、じっと我慢します。
トレ君 頑張ったね。偉い!

十四本の糸は抜けました。
トレ君 おめでとう!

 

トレ君の奇跡‐13

   13-厚紙を重ねるように!

 パピママさんから毎日お見舞いのメールが来ます。
僕も不安な気持ちや、トレ君の様子を知らせます。
 パピパパさんも少しの腫れは大丈夫!
自然に体に吸収されていくから!と、言われる様です。
パピパパさんもお医者さんだから
色んな事情は判るのでしょう。が
僕とパピママさんはちょっとした変化が不安です。
本当に温泉玉子の様な腫れも体に吸収されていくのでしょうか?
 ドクターさん達の言葉を信じて待つ事にしましょう!

 トレ君は変わらず静に寝る事が多いのですが、
フードの食べっぷりは良いし、ウンチもしっかり出ます。
鼻が乾くと熱が有る!と、言われますが、
トレ君の鼻はずるずるに濡れてます。
大丈夫!って声に押されつつ不安な日々です。

 それが、土曜、日曜と、日が過ぎていくに従い、
もっこり ぐにゃぐにゃしていた温泉玉子が、
毎日 小さくなっていくのです。
月曜日は目玉焼きぐらい薄っぺらく成ってます。
そしてトレ君の症状も 薄紙を剥がすように
良くなっていきます。
小さく小さく 赤ん坊に様に丸まって眠る事も少なくなって
手足を突っ張って、ブヒィと鼻を鳴らしてみたり、
どんどん オッサンが、厚紙を重ねるように戻ってきています。

 

トレ君の奇跡‐12

  12-温泉玉子のように

 トレ君の病理結果が三だったらと思うと、体が凍ります。
きっと引退させて治療に専念せねばいけません。
グレード 二も安心は出来ません。転移の心配が有ります。
これから気を着けねばいけません

 二回目の切開で液を抜いてからは、液の溜りは少ないようです。
だが今度は液では無く、傷の下にぐにゃぐにゃとした、
丁度 温泉玉子みたいな物が出来てます。
えっ!早くも転移のきざしですか?
我が家のホームドクターさんに飛んでいきます。
人間の病院ですから犬のトレ君だけを診てもらう訳にはいきません。
何かと理由を見つけ僕の診察を受け、
おまけでトレ君も診てもらいます。
あっ!そうだ。此の前の血液検査の結果はどうでした?
と、次の定期健診でも良い事を聞く事にします。
そして、トレ君、変な物が出来てるんです?と、
トレ君の傷に話題を向けると、
トレ君のフアンのドクターさんは、
どれどれ!と、勇んで診てくれるのです。
トレ君も時々遊んでくれるドクターさんが大好きで、
ドクターさんが出てくると大喜びするので
ドクターさんも満更でもなさそうです。

大丈夫、大丈夫!と、いつもの太鼓判です。
傷を埋めようと肉が巻いて来てる野田と言います。
傷が悪化してるのでは無いとの事で、
ほっと胸を撫で下ろします。
内部で化膿して膿でも溜っていたら大変です。
一安心で帰ります。
歩いて五分も掛からない
我が家の僕とトレ君のホームドクターさんは頼りに成ります。
遠くの名医より、近くの親切なドクター
遠くの大学病院より、近くのクリニックが大助かりです。

トレ君の奇跡‐11

  11-お母さんに成ります。

 トレ君と僕の我が家の勝手に決めたホームドクターさんが
大丈夫って言うけれど、信じ無い訳でも無いけれど、
やっぱり不安に成って、湯方 動物病院に走ります。
前回と同じぐらいしょう液が溜っていると、
傷の所を少し切開して液を出します。
おとなしく黙って治療をさせるから偉い!と、
静にさせるがままのトレ君を獣医さんは褒めます。

 その夜もトレ君は小さく小さく丸まって寝ています。
痛いも苦しいも何も言わないトレ君、
黙って耐えていると思うと、愛おしくってしかたありません。
傷は温めれば楽に成るのか?冷やせば気持ちが良いのか?
傷を水でひやしてみたり、蒸しタオルを当ててみたりです。
トレ君は静かな赤ちゃんの様な息で成せるがままです。
僕はお母さんに成ったような気がします。

 十一月九日、病理結果が届きます。
病巣は確実に取れてる!。
グレード二の判定です。あー良かった!
もし、グレード三なら抗癌剤を飲んだり、
放射線治療をしなければいけません。

トレ君の奇跡-10

  10-トレ君にホームドクターさん

 土曜日に治療してもらって、
日。月と少しづつ液は流れますが、
傷口の脹れは治まっています。
 
 火曜日、歩いて直ぐのクリニックに、
毎月の僕の定期健診に行きます。
温かい日がつづくからトレ君との散歩が楽しめますね!
と、診察室に入った僕にドクターさんが話しかけます。
あ、そうそう、トレ君が大変だったんですよ!と、
トレ君の手術のあれこれと、
傷の周りの腫れも酷く成って来ているような?と、
今の状態を話します。
そりゃいかんね。診て上げよう!と、
ドクターさんは診察室に僕を残して、
待合室で待っているトレ君の所に飛んで行って、
親切にトレ君の傷口を診て頂けます。
大丈夫!傷も綺麗だし、液も汚れてないし!と、言ってくれます。
僕のクリニックのドクターさんは元外科医です。
そんなドクターさんから太鼓判を押されて、ホッです。
でも僕の診察は無し??忘れられてます。

 次の日、やっぱりトレ君の傷の周りが脹れてます。
心配なので我が家のホームドクターさん??に行きます。
ただで見てもらう訳にはいきません。
インフルエンザの予防接種をお願いします!と、
言って行きます。そして、何気にトレ君も診てもらいます。
大丈夫だよ、私は見立て良いだから!と、
自信満々にドクターさんは言ってます。

 それでも夕方に成ると、トレ君の腫れが酷い感じです。

トレ君の奇跡‐9

  9‐治す為の液!

 トレ君が帰って来て、トレ君とのお出掛けは楽しいです。
まだまだ遠出はむりでしょうが、
ちょっとづつでも、一緒に歩きましょう。
手術の跡は確実に治りつつ有ります。
来週の水曜には抜糸が出来るでしょう。

 そんな気分を楽しいで居た三日目、
十一月五日、土曜日の午後です。
トレ君の傷の周りがぶっくっと大きく脹れてます。
触ると、水枕の様にチャポチャポしてます。
朝はなんとも無かったのに・・・
わー、傷が悪化ですか?不安です。
訓練所の緊急携帯に電話を掛けます。
術後は液が溜まる事が有ります。明日は日曜だし、
念の為 獣医さんに診て貰って下さい!との指示です。

 PWさんは東京出張中だし、手術した獣医さんには遠いし・・
取り急ぎタクシーを呼んで、行き付けの動物病院に駆けつけます。
 傷を治そうとして分泌された しょう液が溜っているのだそうです。
液を抜きながら治療していきましょう!と、
傷口を少し切開して液を出します。
液はびゅーっと飛び出したそうです。
トレ君はじーっとして治療を受けています。

 其の夜もトレ君の傷口から 
血の混ざった しょう液は流れ続けます。
トレ君は前足を顎の下に折り込んで、
小さく小さく丸まって、寝ています。
寝息さえも聞こえません。
何度も流れる液を拭いて上げます。
両親に尽せなかった孝行を、
せめてトレ君と思い、看病を尽します。
あんなにやんちゃだったトレ君が、
弱弱しく体を寄せて来ます。

トレ君の奇跡‐8

   8-大きな縫い目です。

  次の日は もうフードも少しづつ食べられます。
首輪が傷に当らない様にと、注意しつつ
軽い散歩に出かけられます。
 三日目、四日目と、傷も順調に癒えています。
と、PWさんから経過報告です。
トレ君は順調に回復です。
若いから治りが早いのでしょうか?
再びの奇跡でしょうか?

 でも、僕は未だ一人の散歩です。
体がなまるといけないと、白杖片手に
一応其の辺りをぐるりと回って来ます。
 予定に有った学校訪問も一人です。
愛嬌もののトレ君が居ないと、
今ひとつ盛り上がりません。
 研修会も一人です。
何だか元気が湧きません。

 十一月二日 水曜日、
術後一週間目の検診を受け、合格で
トレ君帰って来ます。
PWさんが仕事を終えて連れてきてくれます。
 遠くに行ってる子供が帰って来るような、
久しぶりに孫が遊びに来るような!
経験は無いけど、そんな気持ちです。
 トレ君の敷物も洗いました。
柔らかいクッションも出し、
わくわく気分で待つのです。

 トレ君帰って来ました。
帰って来たトレ君、僕に一生懸命話し掛けます。
痛かったんだよ!でも泣かなかったよ!と、
言っているのでしょうか?
体をぶつけて話します。
痛かったね。痛かったね!と、トレ君を抱きしめます。
よく我慢したね。賢かったね!と、
頭を撫で撫でして上げます。
そうだよ、頑張ったんだよ!と、
僕を鼻先でツンツン突いて話します。
トレ君に取っては晴天の霹靂です。
其れを乗り越えたトレ君
自慢げにしっぽをぶんぶん振ってます。

 トレ君の首筋には痛々しい手術の跡です。
首の幅いっぱい横に切られています。
大きく縫い合わさった所には
糸が鬣の用にピピンと立ち上がっています。

トレ君の奇跡‐7

    7-涙 脆くなります。

 二十六日は、トレ君の手術の日です。
だんだん不安な気持ちが募ってきます。
朝、氏神さんと菩提寺に白杖突きつつお参りに行きます。
出会う人が、ワンちゃんは如何した?と、聞きます。
訳を話すだけで涙が出そうに成ります。

何故、トレ君がこんな目に合うのだろう。
何故?何故とトレ君だけが・・そう思うと
可愛そうでたまりません。

 メーリングの皆さんやワンちゃんの仲間、友達から
応援メッセージが沢山寄せられます。
気弱に成っている心に沁みて、また 涙が出ます。

トレ君 がんばれ!
手術の成功を祈ります。
何も知らないトレ君のあどけない顔が浮かびます。

無事手術が終わり、
トレ君元気です!と、PWさんからの報告です。
あー良かった!また ホッとして涙が出ます。
 少しフードをあげたら吐いてしまいます。
ブルブルと首を振りたいのに振れず!困り顔です。

トレ君の奇跡‐6

   6-肥満細胞とは?

 トレ君の湿疹が脂肪腫で有れば
もしかしたら手術をしなくって済むかも知れません!
しかし、トレ君は肥満細胞腫と診断されたのです。
肥満裁縫腫!聞いたことの有るような?
パソコンで検索、
肥満細胞腫は太っていると発生する細胞では有りません!と、
先ず冒頭は誰も田思ってしまう事の
そんな否定の文章から始まります。
非常に危険な悪性腫です。と、続いています。

 悪性、悪性、悪性 と、
悪性の二文字が僕の脳裏で渦巻き始めます。
悪性腫瘍は要するに癌ですよね。
思えば、トレ君の腫瘍が奇跡的に消えた日、
良かったー、大きく抉られなくって!
筋肉組織まで取り除く事になったり、
放射線治療などしなければいけなかったら、
トレ君は引退させて治療に専念しなければいけないかもと、
考えて・・・と、言う話しがパピママさんから出ていました。

 其の時は、トレ君の腫瘍は消えてます。
消えた喜びで、其れは関係ない話しとして、
僕の耳を通過していました。

 ホームページには、
転移、再発、合併症の恐ろしい言葉が並んでいます。
心が凍るようなヒンヤリとした物を感じます。
二十八日 水曜日の午後トレ君は手術です。
無事 悪性腫瘍が取り除かれる事を祈るばかりです。