遠くで花火を聞きながら・・・

 ポンポン ポン 花火の音が聞こえ始めます。
今夜は天神さん、隣町の花火大会。
バリバリバリ、ドッカーン、ポンポン
どんどん音が賑やかに成ります。

 「トレ君 見に行こう!」と、音に誘われ
隣町の望める所まで出かけます。
何処だ?何処だ?音はすれども姿は見えず・・・
視力は薄く、視野の狭い僕、花火が見つから無い。
ドッカーン、ひときわ大きな響きです。
でも音を聞いてから、其方を見ても、もう遅い!
隣り町まで数キロ離れてます、
すでに花火は暗い夜空に消えてます。
あ!やっと見えました。
連発花火で海の方の空がほんのり明るく成っては、
すーっと吸い込まれるように暗くなる花火、
音の割りに、とても頼り無い感じです。

 トレ君は花火が嫌いです。
ポンポン、ドンドンと五月蝿いから嫌いです。
俺は盲導犬だから付いて来てやってるんだよ!と
花火にお尻を向けてます。
もう、いいじゃん帰えろ!と、
半分腰が浮いてます。
ドッカーンと、尺玉の音が響きます。
俺、此れ嫌だよ!と、
立ち上がり、頭を我が家に向けてます。

 もう一つちゃんと見てからね!と、なだめます。
抱き抱えたトレ君は 心臓バクバクです。
何とか大きい菊花花火を一つ見えたので帰りましょう!

 帰り道のトレ君の早い事!
脇目もふらず、一目散のすたこらさっさです。
背中では、花火大会もクライマックス近づいたのでしょう、
ドンドン、バリバリ、ポンポンと激しい音が続きます。
うーん!もうちょっと見たかったな!とつぶやけば、
トレ君は どうせ大してみえないでしょ!
駄目駄目!と、非常です。
さぁ!シッコして寝よう、寝よう!と、
我が家に大急ぎです。