ほたる の 光 編

  午後七時半 未だ空が明るいです。
そう言えば 早くも来週が夏至です。

 先週 雨の降りそうな夕刻
友達K君が誘ってくれて
金星川の上流に蛍を見に行きます。
我が家から其れほども遠くもないが・・
川岸まで山が迫り、人家の明かりも無く、
蛙の鳴く声とせせらぎの涼しげな水音が
聞こえるばかりです。
 
 雨が降りそうな空は暗く、
僕はもう真っ暗な感じがするが・・
未だ明るいから蛍は飛ばない!と
K君は言います。
そう言えば 山の稜線の辺りが
ほんのり白いでしょうか。

 飛び始めたよ!と、
暫くするとK君が教えてくれます。
K君が指し示す方を幾ら目を凝らしてみても、
僕には山に続く闇が在るばかりです。

 捕まえて手に乗せてくれると見えるかもしれない!と、
K君に言います。
其れは無理!と、
僕らの見ている側は護岸工事されていて・・・
蛍は飛ぶのは、川の流れの向こうの土手の草地だそうです。
 時間でしょうか、あっちにもこっちにも
蛍が飛び交っている!らしい?

 幼い頃は我が家の回りも水田で
小川の流れにも蛍が飛び、家の中にも飛んで来たり、
捕まえて 寝床に張り巡らした
蚊張に話して一時を楽しんだ事を
懐かしく思い出しながら帰路に・・
すると、目の前に 淡い光の蛍が
飛び交っている光景が蘇ります。
瞼の母ならぬ、瞼の蛍です。