納屋の二階の雑多な荷物を
あっちこっちとパズルのように避けながら
移動してきた洋服ダンスが窓際に在ります。
市役所の正午を知らせるチャイムが鳴ってます。
あー お昼だ タンスを下ろすのは次にしょう!
友達が来たら手伝って貰おう。
トレ君のオシッコをさせて、お昼を上げよう!
と、思ったのですが・・
あと一息だ!けりをつけよう。と
梯子を持ってきて 納屋の窓に架けます。
やっぱり 一人では無理かな?
先日 二階から落ちて亡くなったKさんの事を思います。
危ないな と尻込みです。
しかし 二十数年前 此のタンスは僕が一人で
よいしょ と担ぎあげたんです。
ままよ と僕は梯子を上り タンスを窓から引き出します。
ずるずるとタンスは出てきます。
左手で梯子を持ち 右手でタンスを支え
梯子に添わせながら そろりそろりと下りて行きます。
其の時 ガッタッと 予想外の重みが手に掛り
其の衝撃で 僕は ドシンと尻餅を搗く様に
地面に落下です。イタタタタァ!
尻から落ちて 後ろに倒れます。
其の時 後頭部に グッキと嫌な衝撃です。
後頭部を手で押さえると生暖かい物が流れています。
起きようとしても全身の痛みで起きれません。
暫く蹲っていましたが・・
誰かに知らせなきゃ!医者に行かなきゃ!と
ゆっくり立ち上がります。
納屋の窓は路地に面しています。せめて通りに出なければ・・
痛さで閉じていた目を開け 方向を見ようとします。
だが 目を開けても 周りは真っ暗
目を開けても 閉じても 黒い闇です。
頭の打撃で 完全に失明したのか・・?