「物凄くきれいな色」と、
咲いている薔薇を人は
口々に褒めます。
ばぁちゃんの庭に
真紅の薔薇が見事に咲いているようです。
僕は庭に入り、
手探りで薔薇の枝を捜します。
あっ、手に触れます。
両手に掬うようにして眺めます。
深い赤い真赤な薔薇が
両手一杯に咲いています。
何時の日かに
誰かに薔薇の花束を貰います。
余りにも綺麗なバラ達だったので、
ばぁちゃんは挿し芽をします。
色々と何本か挿したのですが、
その内の此の赤い薔薇だけが
生きつき、次の年から毎年
花を咲かせます。
幸せの真っ赤な薔薇が
ばぁちゃんの庭に咲いたよーです。
最初は小ぶりの花でしたが
毎年毎年花は大きくなっていきます。
今日はばぁちゃんの手術の日です。
「今年も見事に薔薇が咲いたよ」
ばぁちゃん 早く元気に成って、と
祈ります。