花嫁の父は大歯ぎしり

東京にて・・・3
ホテルは花嫁の父である
我が友人と同じ部屋です。
花嫁の母は花嫁と一緒です。
最後の夜は川の字に成って
寝れば良いのにね。
我らコンビ、トレイス君が心配で
介助の為べつべつの就寝です。
その点は申し訳ないです。
 
トレイス君飛び起きて、
「わー!今の何っ!」と、
鼻で突いて僕を起こしています。
ギリギリギリー、ゴーゴ、ゴ、ゴウ
耳に響く凄い音です。
「歯軋りがあるよ」と、聞いては
居ましたが、こ、こ、こ、
こんなに凄いんですか?
製材所に居るような、
鉄工所に居るようなそんな感じが、
大きく成ったり、細くなったりして
深夜のホテルの部屋に響くのです。

それでも旅の疲れか
浅いまどろみが有ります。
古いアールデコ調の
建物の入り口に居ます。
すると、髪の長い男が
上から僕を目掛けて
箱を落としてくるのです。
「やめろー!」と、叫びます。
その自分の夢の叫び声で目覚めます。
「なに!なに!なに!」と、
トレイス君は飛び起きて
鼻先で突っついてきます。

それでも花嫁の父の歯軋りは
ぎりぎり ぎりぎり続いています。。
愛する娘を嫁に遣るのが惜しいのか?
可愛い娘を婿に取られるのが悔しいのか?
嫁入りには沢山のお金が掛かるのが
苦しいのか?何故に歯軋りは止まりませんか?

また、少しまどろんだ朝方です。
ぐぇ。ぐぇ。ぐえ 「なになに」
わー今度はトレイス君 吐いてます。

あー、空は白んできます。
ぎりぎりぎり、うーん眠れない!
ぎりぎりぎり 皆で歯ぎしりです。