満中院の月

 隣のばぁちゃんが亡くなって
明後日が七・七期 です。
亡くなって七週間は 魂は家に留まってます。
其の後は遠く仏の世界へと旅立っていくのです。

 ばぁちゃんの霊魂が屋根棟から
我らを見守り この世の生活の別れを
懐かしんでいるのかと思うと
夕闇の空に ばぁちゃんを探します。

 ばぁちゃんが亡くなる前夜
我が家を覗き込むかの様子で
低く半月が 刷毛で刷いたよな
薄墨色の危うさで
西の空に在りました。

 其れから梅雨の曇天が続き
月は空に現れません!
 先週 以前の月より もっと微かに
空に月が有りました。
 そろそろ ばぁちゃんのお別れなのか!と
見つめていると 月は闇に消えてしまいました。
 ばぁちゃんの魂さえこの世から
去ってしまうのかと思うと
また 葬送の日にもまして
空しく想われます。