ナツなった人の正月

 その年に亡くなった人は
12月の辰と巳の間に 年を越し
一足先に お正月を迎えます。
 そして 世俗の我らは普通の
正月を祝うのです。

 そんな世俗的な風習が此の辺りにはあります。
隣のばぁちゃんは昨夜 お正月を迎えたのです。
未だ 遺骨は墓に納めていないので・・
墓地での祈願はしませんでしたが
餅のお供えだけはしました。
 昔は 明日の馬の日に
親続やご近所から 御祝いが届けられます。
此の頃は世俗の行事は段々省略されてきました。

 其の 辰巳の前の日の11日は
ばぁちゃんの半年目の月命日です。
 久しぶりに晴れ渡った夜空に
大きく銀板の月が出ていました。
 丁度 我が家を覗きこむような位置で
輝いて居て 何か懐かしい思いがありました。
 だんだん ばぁちゃんの死とは遠く成りますが・・
話したりなかった思いが心に 
彼是と去来し 虚しくもありますが
月が答えてくれている様な・・