もみ殻や木

 そう言えば 思い出します。
今頃から 小雪のちらつく師走に
農家の庭先や田んぼの
あっちこっちで白い煙りが上がり
もみ殻焼きがおこなわれていました
想えば 我が家のあたりも牧歌的な所でした。
 三十数年前ゴロだったと思うのですが・・
父が田んぼでもみ殻を焼いて居ましたら
消防自動車が来てしまいました。
 其のご頃から 高速道路のインターが出来
其れに合わせて 郊外店や大型スーパーが回転し
電畑の中にアパートや住宅も増え
田んぼでの焚火は禁止に成って仕舞いました。
懐かしい風景は消えてしまいました。

 懐かしい風景を思い出します。
もちろん もみ殻焼きでは焼き芋は 農家の子どもの
楽しみの年中行事です。
 白い煙しかたっていないもみ殻の山を
夕暮れ時 棒でつつくと 炎がぼーっと燃え上がり
人魂の様に見得 恐山てこんなのかな と
想像が膨らんで 怖がっていました。
 一晩中燃やすので 冷える夜
父は コホコホと席をしながら
タオルのほっかむりで見守りに出ていっていた
姿も久しぶりに思い出しました。

 あの頃 林檎は軽木箱に
もみ殻に埋まってうっていました。
 今 もみ殻は何処へいったのでしょうか・・?
あっ!そうそう 燃やすことが出来なくなったもみ殻は
米ぬかと混ぜて発酵させ園芸用に
産直いちで売って居ました。