雨乞い・2

夕暮れの散歩から帰ってきました。 先週あたりから 日が落ちると 涼しい風が 吹くようになります。 畦道を行くと 畦の草むらに 隠れていた 蛙が チャポン チャポンと 田んぼに飛び込む音がします。 水不足と言っても 水田に歯 足りているようです。 まあ そんなに騒ぐことはなかろう!と思えたりします。
 しかし 市内のプールは 全て閉鎖になっています。 水の節約のためだそうです。  子供たちの 夏休の 息抜き場所が奪われてます。
製紙工場も 休止のところもあるとのことです。 取水制限が続くと トイレットペーパーや マスクが足りなくならないとも限りません!
 やっぱり このまま雨が降らないのは困ります。
 子供のころです。 雨の無い日が続いて 水田もカラカラ 地面にひびが入り 折角の稲の苗が赤く枯れ始めています。 時に 水路に流れる水を争って 鍬を振り上げるような 騒動も起こっていました。
 集落の人たちが寄り集まって 昔から やっていたという 雨乞い をすることになります。
 空っぽになったため池の堤に 藁束を積み重ね 鎮守の森からやってきた 神主さんの 祝詞が流れる中 火が放たれます。 群青に張れた空に 黒い煙が 赤くめらめらと燃える 補のをを 従えて  一直線に  その空に 竜のように登っていきます。
 竜のような煙が 上空で沸きあがった雲のように もくもくと 広がり始めます。
 かたずをのんで 村落のみなさんが見守る中 雨粒が ポツン ポツンと落ち始めます。  奇跡は 起こるものなんだ と  みんなが感性にどよめく中 雨粒は ご粒 六粒とか数えたあたりで ぱったりと 止んでしまいます。
 雨は それからも降らず 台風シーズンを待たねばなりませんでした。
信心が足りなかったのだろうか と 幼心に残る 干ばつの年の記憶です。 そんなことにならないよう 願うばかりのこの頃です。