夕ドラー60

  緊張しながら 入った グランパレは 初冬の薄寒い パリの光よりも ずいぶんと明るい光が ガラス天井が 集めて 館内を照らしています。 その光が満ちている  美術間の真ん中の 来客を 迎えるべく立ち並んだような  その正面の 一段と明るい その面に 僕の作品も在ります。  わあ 興奮の声を上げてしまいそうになります。 館内を 見て回っていても 其処が気になり 何度も眼がそちらに 行ってしまいます。 ぐるぐる ひつっこく館内を巡ったはずですが・・・ 他のさくひんは 心に入ってきません。  今も 思いだそうにも 何にも 思いだせません。
 パリの街路樹の葉も落ちてしまい クリスマスのイルミネーションがともり始め 展覧会の会期が終わり さくひんが帰ってきます。 その作品も 直ぐ日本に 送ります。 一区切りがついて 片付いた部屋にいると 無性に もう少し 後3ねん 5年 いや 一念でも 此方で居たい もっと 世界も見てみたい そんな気持ちが強くなっていきます。  そんな時 デザインのアルバイトの話が もちあがり・・・。