餅つき

 僕の子供の頃は、今日29日が餅つきのピークだったでしょうか?
前の日から母たちは準備をして、
今日の昼頃から餅米を蒸し始め、
蒸しあがると木の臼と杵でつき始めます。
本家の臼はりっぱです。城山の松を伐採した折
其の松の幹で作ったごっつい臼です。
我が家と本家とお隣さんの合同餅つきです。
 本家は大きな百姓だったので、
釜屋も土間も広く、家の中での餅つきです。
蒸し上がる餅米の匂いと湯気の立ちこめる中
ほい ぱっぽ!ほい ぱっぽの威勢の良い
つき手の声が響きます。
親戚のお兄さんも手伝いに来てくれて、
何臼も何臼も突き上げていきます。

 最初の一臼がつき上がると、
餡子を入れてもらって早速ほおばります。
甘い物好きの父はぺろりと三個をたいらげます。
サービスで二個要り餡子餅を作ってもらったりもしています。
そんなこんなで、最初の一臼は食べてしまいます。

 揉み手は母たちです。
僕たち子供も手伝います。
餡子を入れた餅のお尻の所の仕上げが難しい、
なかなかくるりと丸く成りません。
 
 僕ら子供もつき手もさせてもらいます。
でも、杵に引っ付いた餅で素早く振り上げれず、
水を挿してもらうと楽ですが、餅が水ぽっくなるし、
つき手は早々に退陣です。