かさね餅と霰

 三臼目ぐらいにはお供え用の重ね餅を取ります。
くるくる回して揉み上げていきます。
お餅の表面がぴかぴかに光る鏡餅です。
大と小の重ねが出来ます。
床の間用の大型と神棚や仏壇の小型を作ります。
其の頃は釜屋・台所の神様にも重ねをお飾りしてました。
沢山の重ね餅を作ったら、次は伸し餅です。
物蓋に一臼流して伸します。
伸し餅は少し乾かせて四角く切ります。
其れはお正月の父の仕事です。
大きな包丁で角餅に切り分けます。
余りに堅く成った時は海馬切りを持ち出したりしてました。

 我が家では作りませんでしたが、
薄いへぎ餅やあられも作る家があります。
食紅を入れたり、くちなしの実で黄色く色を着けたり
色鮮やかなお八つに成ります。
大豆の入った香ばしいのもあります。
 お正月を過ぎた晴れた日に日差しに広げて
寒晒しに乾かせて保存食にします。

 家々から聞こえる ほいぱっぽの餅つきの音も
アラレを干す光景も半世紀まえに消えてしまいましたね。