変貌する風景 其の3

 忘れられてあるベンチとわが家の間には いったん盛り上がって 深く掘れた所に 暗い河があり そして また盛り上がったところに わが家があります。
 その深い川から あちらには 子供のころは行かないようにと言われていました。 深い河の 川渕には 猫柳の木や 何かの草木が茂っていまして 大きなドングリの木の下に この辺では見られない 形の墓石が 川に沿って並んでありました。 土葬の痕跡のある 墓地でもあり 雨の降る余波 ぽーっと青いリンが 燃えて 飛ぶのが見えていました。 昔 このあたりが 戦場であったとか この墓は もしかして その時のうち時にした 武士の歯かでしょうか部屋から そこが 抹消面に見えるので 夜は なるべく そちらを見ないようにしておりました。
 そんなにも でこぼこした土地のような気がしておりましたが 現在は 駐車場など広々として 平面のコンクリートになってしまいますと 思いのほか 距離が ちじまって 子供のころ あちら側に行かないように と言われてたことが へんだなぁ と思える様相です。
 スーパー マーケットの総菜売り場が わが家の台所とつながっているような 気さえしてしまうのです。