旅の三日目の朝です。
トレイス君の朝のトイレを済ませ、
和室の方の窓を見ると、少し明るく成ってます。
窓を開け放すと、今まさに
湖面の淡いブルーに、湖畔の影絵のような山々
山の端から新鮮な光が
暗い空を押し上げようとしています。
神々しい光、穏やかな湖水、揺らぐ微風
あー、未だ見る事が出来るんだ、感じる事が出来る
残り少ない視力に感謝です。
スタッフさんにお願いして、
湖に浮かぶ露天風呂に連れて行ってもらいます。
いま、山の端から出たばかりの陽光が
湖面にも露天風呂にも満ちて、
体ばかりでなく、心のも洗われていくようです。
さあ!朝ご飯です。
ホテル風和旅館ですから和食です。
卓上のコンロでひらめの開きが焼かれています。
小さな小鉢が八つに、味味噌とか和え物がいっぱいです。
家庭料理の匂いがしています。
それぞれ、ごはんにまぶして頂きます。
「温泉に入れなかったのよ」と、
下半身麻痺の女性が言ってます。
車椅子では入れない段差があったり、
旅館は女性の人手が少なく、
サポートがしてもらえなったのです。
僕は温泉三昧で満足していたので、
かえって、さびしい話しに聞こえます。