誰もが好きな絵が・・・

もう暫くメルヘンの世界で遊んで居たいですが、
次の目的地ドレスデンに向かわねば成りません。
ドレスデンの絵画館に五時までに入らねば成りません。
絵画館は明日月曜日は休館なんです。

雪景色がだんだん薄くなって、
夕闇の迫ってきた頃、ドレスデン絵画館前に到着です。
「トレイス君にオシッコさせたい!」と、言ったのですが、
誰も聞いてくれず、皆さん足早に絵画館に入っていきます。
仕方なく我らも続きます。
バスの中でたっぷり水を上げました。ちょっと、心配です。

暗く成って着いたので、絵画館は果たしてどんな建物か?
入り口はどんな具合だか?全く分りません。
美術館にもその国の特徴がありますね。
名画が並ぶのに華やかさは無く、ドイツ的質実剛健です。
「あっ!メインの名画です」、
アウグスト強王が教区一つを買えるほどの値段で買った
ラファエロの「サン・シストの聖母」です。
そして、最後の方にフェルメールの
「手紙を読む女」が在ります。
象徴的で分り安く、誰もが好きに成る絵画です。

「あー、し・あ・わ・せ」
「此の2点を見るのが旅の半分の目的だったの」と、
興奮した女性が騒いでいます。
聖母像の下に二人の天使が居るはずです。
「ね、どの辺に居る?」と、その女性に聞きます。
親切に画面の真ん前で、僕の手を取って、
画面をなぞりながら説明してくれます。
目をごしごし擦ってもかすみは取れません。
目を見開いても見えません。
「手紙を読む女」も、同じく説明してもらいます。
白い壁に一人の女性が立つだけのシンプルな画面です。
でもただただグレーで女性の姿が浮かんできません。