焼き鳥屋の店内は良い匂いでいっぱいです。
ニンニクと香辛料の焼ける香ばしい匂いが堪りません。
「トレイス君、大丈夫!」と、Nさんが言ってます。
トレイス君は食べた事の無い匂いのせいか、
食べ物屋に入った時のエチケットか、
さっさとテーブルの下に入って、良い子でダウンです。
我らの席は奥の隅に用意してくれます。
焼き鳥屋は居酒屋風で、
椅子はベンチ式で動かせません。それで
Nさんは車椅子から下りずにテーブルの端に、
車椅子を寄せて席を作ります。
M君は車椅子から降りられるのですが、
「面倒だ!」と、やはり隣りに車椅子を寄せて止めます。
それで僕ら四人の席は出来上がります。
Nさん,M君は焼き鳥の匂いにそそられ、
「生、生」と、言って一番に生ビールの注文です。
匂いをアテにビールぐびぐびです。
でもなかなか焼き鳥は焼きあがってきません。
彼らのビールはいっぱい目が終わりそうです。
「来ましたぁー」 ジューンと音をたてて、
熱いお皿に乗ってやって来ました。
突き出した骨の先に紙ナプキンを巻いて、
手で持ってかぶりつきます。
香辛料の効いたピリ辛でバリバリの皮が美味しいです。
「かぶりついたらうまいだろう」と、Nさんが言います。
Nさん手も不自由なので、切ってもらっているのです。
Nさんの前で申し訳ないが、
かぶりつくのは本当に美味しいです。
でも其の分、僕は美味しい焼き色は見えないです。
日頃、弁当とかスーパーの惣菜を食べてる身には
熱々の焼きたてはたまりません。じゅるじゅる。