月別アーカイブ: 2010年5月

信濃紀行‐9 澄み渡る庭

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気分を直して、お茶タイムを楽しんで、宿にかえります。
美術館の点在する此の辺りは別荘地帯でもあります。
ひと夏、いや秋が良いかな!ゆっくり滞在したいですね。

今夜の泊まりは公営のこじんまりした温泉宿です。
玄関も部屋もお風呂もフラットなバリアフリーです。
ロビーや休憩室も松本民芸家具が置かれていて、
和と洋がマッチした造りに成ってます。
居心地良いけど、部屋で居ては、旅の甲斐が有りません。

ちひろ美術館の庭に散歩に出ます。
美術館は休みでも庭は開放されてます。
「寒い!」ぶるぶるです。
先週はTシャツ一枚でも良かったのですが、
「寒く成るよ!」と、隣りのばぁちゃんの薦めもあって、
長袖シャツにベスト、上着も着てきたのですが、
それでも振るえるほどに寒いです。
庭は低い山を背に川在り、池在りで、
何処までも広がっています。
透明感の有る澄み渡るような風景です。
其の新緑の木々に、アルプス降ろしの風が、
晩秋のように冷たく吹き付けているのです。

庭の端の方に、ちひろさんの別荘が移築されて在ります。
三角屋根のロフト付きワンルーム。
「俺の部屋にしたいな」と、トレ君が言ってます。
玄関脇に三角屋根に負けないくらい、
思い切り背を伸ばした桜の木が一本在ります。
桜が満開の時、アトリエの大きなガラス窓一面が
花で溢れるでしょうね。

庭の少し窪んだ所にベンチが在ります。
デッキチェアーの様に深く座れるベンチの其処だけが
風も避けて日溜りに成っていて暖かです。
我らは庭の懐に包まれるように、優しい時を過ごします。
・写真は寒そうなトレ君です!

信濃紀行‐8 こっちの方が良かった・

「ワンちゃんは困ります」と、拒否された喫茶をでます。
トレイス君もしょんぼり!ですが
何と、そこに大きな看板が在るではないですか!
「盲導犬、介助犬以外のペットの入店は硬くお断りします」
と、言う事は、盲導犬、介助犬はOKって事ですよね!
もう一度、店に取って返して、ウエイトレスを引っ張り出して。此の看板を目に擦り付けてやりたいです。

結局、アートヒルズに帰って、其方のカフェに行きます。
ミュージアムの入り口で此の経緯を受付で話します。
あの喫茶とは同じ系列との事で、
此方で丁重に謝ってもらえます。

二階のカフェは素晴らしい展望です。
此方に着て良かったです。
安曇野は標高どの位の位置にあるのでしょうか?
目前のガラス窓いっぱいに、
雲の上の高原の大地が広がっています。
澄んだ空気、清らかな光が溢れています。
インテリアは北欧家具でしょうか?
シンプルモダンで素敵です。
ちひろ美術館のカフェには行けませんでしたが、
此処も捨てた物では有りません。
トレイス君もウエイトレスさんを上目使いに眺めつつ、
「こっちのお姉さんの方が綺麗だね」と、
気持ちの良い広い床で、
伸び伸び、のんびり午後の一時です。

信濃紀行‐7 取り合えずですが・・・

ショックです。今日も、そして明日も休み!!
善光寺さんの次は安曇野のちひろ美術館でゆっくりが
今回の信濃旅行の二大イベントです。
あーぁ!それに今夜の泊まりは
美術館前の温泉旅館にしてたのです。

取り合えず宿に行きます。
まだ早い時間なのでチェックインも出来ません。
フロントで近くの様子をお聞きします。
ここら辺りには美術館がいっぱい点在してるようです。

取り合えず紹介された「トンボ玉美術間」に向かいます。
気が着かないで行き過ぎたのか、明日帰る時に寄る予定の「アートヒルズミュージアム」まで行ってしまいます。
来てしまったので、取り合えず入ります。
メインがぼしゃったので、全て取り合えずです。

此の建物は東京の代官山ヒルズビルに似ています。
ヒルズ繋がりで有りますか?
取り合えず入っては見ましたが、
それなりの物も在るのですが、何となく俗っぽい感じです。一つ記念の物を取り合えずですが。買います。

取り合えず、お茶タイムにしましょう!
庭に小じゃれた喫茶が建ってます。
庭を眺めながらのんびりしましょう!
では、入ります。入るとです。
「ワンちゃんは困るんです」と、
ウエイトレスさんに言われます。
「えっ!盲導犬ですよ」と、言っても、
「食べ物を扱っている店なので!」と、言い張ります。

ガイドさんが介助犬保護法の事など説明してくれます。
「じゃ、良いです」と、ぶっすとウエイトレスさんが言います。
じゃいい!其の言い方、嫌な感じです。
ガイドさんも怒ってしまって、店を出てしまいます。

信濃紀行‐6

安曇野、素敵な地名ですね。
雲の上に広がる大地、天空の楽園です。
「信濃でイチ押しの美術館カフェは何処ですか?」と、
ガイドのKさんに聞きます。
僕は美術館に行くのは好きです。
此の頃は作品はすっかり見えません、
美術館の雰囲気を味わうのみです。
そして美術館カフェでのんびり時を過ごします。
美術館カフェには街のカフェに無い雰囲気があります。
インテリアにも憧憬の深いKさんのイチ押しは安曇野の
「ちひろ美術館」のカフェテラスです。
美術館の建物からガラスの箱が広い庭に
飛び出したようなカフェテラスだそうです。
ふんふん、聞いただけでイメージが、
雲の上の楽園にせり出すカフェ、良いですね。

ちひろ美術館到着です。
目前には広い庭園が広がるばかりで
全く美術館は見えません。
美術館は周りの風景を壊さないよう、
背後の山並みの稜線を隠さないよう、
低めで優しく造られています。

入り口は何処、入場しようとしたら、柵が在ります。
「今日、明日、展示換えで休みです」と、
中から声が掛かります。
ガ、がーん!

信濃紀行‐5 里は春!アルプスは未だ冬です。

日本アルプスの全貌が眺められるスポットに行きます。
白馬、穂高、槍ヶ岳の三千メートル級の山々の連なりが
目前に広がっています。
穂高、槍ヶ岳と聞きますと。
サスペンスドラマを思い出します。
あれ、あれ、テレビの見すぎですかね!
望遠鏡が備えられています。
ガイドさんが、山小屋に標準を合せてくれます。
「見えるだろ!」と、言われますが、
僕にとって、世の中の物が全てそうであるよう、
見えてるんだか、見えて無いのか、
在る様な無い様なです。
事件が起こっていても分りませんね。
それにしても寒いです。
尾根にもまだ雪が残っていますが、
谷から吹き上げて来る風邪は真冬です。
「雪に成りそうだね」と、話していたら、
やっぱり本当に、其の夜は雪に成ります。
此の辺りには桜の花や林檎の花が咲いています。
そして田植えは早くも終わっています。
瀬戸内では桜はとっくに終わりましたが、
田植はもう少し先です。
四国では見れない風景です。

お昼は、道の駅で山菜寄せ揚げ蕎麦を食べます。
とても味が濃くって、八百円は高いです。
これじゃ四国では流行りませんよ!
うどん文化の我が町辺りでは、
さっぱり味で、麺類は二百円までが相場で、
てんぷら入れて、高くても五、六百円で抑えなくちゃ。

善光寺につづく、今回のメイン安曇野に入ります。
高原の木々はアルプスの山々に負けるもんか!と、
新緑を思い切り大空に伸ばしています。

信濃紀行‐4 参道でトレ君おおもて!

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あ!そうそう トレ君にもお守りを受けます。
歩行安全、健康長寿です。
トレ君の安全は、我の安全。
トレ君の健康は僕の安らぎ!

写真は山門前で、向こうに善光寺さん本堂が見えてます。
のんびり参道を歩いて帰ります。
わっ!何だ!外国の若い女性に取り囲まれます。
何だか分らない言葉で、きゃきゃ言われてます。
ハンサムなトレ君と写真を撮りたいそうです。
我らは北京オリンピックのトーチランナーだった!と、
言うと、いっそう盛り上って、僕も入れてパチリパチリです。

向こうから小学生の遠足の一団です。
盲導犬は左側歩行です。彼らの正面からすれ違います。
わっ!わぁ!わっ!トレ君が横を過ぎる時、
波のように驚きの歓声です。
でかい!すごい!かっこいい!です。

ガイドのKさんが
「トレ君ばかりが褒められてるね」って、言います。
本当に「きれいなワンちゃん!」「かわい い!」と、
トレ君ばかりが褒められてます。
そして、「がんばってね!」って、激励も有ります。
トレ君ばかりでも嬉しくなります。

参道脇のお店も開いてきています。
アーケードを退け、電柱を退け、
大正、昭和のレトロなムードに統一です。
「この店、有名だよ」と、ガイドさんが言ったので、
レトロな商店で缶入りのひち味をかいます。
二年前に味わえなかった善光寺さんと門前町を
慣れたガイドさんのお陰で満喫です。

長野の視覚障害者外出支援グループのガイド料は
一時間二百円です。コース等も相談に乗ってくれます。 

信濃紀行‐3 パワースポット

最近、友達に病人が多いんです。
お守りを是非受けたい!と、ガイドのKさんに話しながら
参道を歩いていると、ケイタイの着信音です。
あっ!なんと噂の病気の友人ところからです。
話し聞えたのでしょうか?

大きな山門を潜って、境内に入ります。
山門の大きな柱を触れさせて貰います。
目の前には堂々とした本堂が見えます。
急な階段を登って、板張りの広縁を入ってご本尊様に
色んな事をお祈りします。
母の姉の叔母が生前、「善光寺さんに一度は行きたい!」「お参りしたい!」と、言い続けて、
其の希望を果たせぬ侭、亡くなった事を
悲しく思い出します。
くる事の出来なかった父母、親族、先祖の分も拝みます。
そんな事、あんな事、思いながらお守りも頂きます。

最近、お母さんを亡くした友人が。居ます。
「其の友人にお線香を買いたい!」と、言ってますと、
またケイタイに着信音です。何と其の友人からです。
霊を通して、僕は交信してるのでしょうか?

それから境内の脇に在る、
手の爪で彫ったと言われる「爪彫り観音」を拝みます。
「観音様は眼病を直して頂ける」と、
書いてある立て札を読んでくれます。
金網の張られた扉の暗いお堂の観音様は見えませんが、
「目が良くなりますように!
せめてこれ以上は悪くなりませんように」と、お祈りします。

参拝を終えて、参道を帰ります。
「沢山歩いたので喉渇いたね」と、
ソフトクリームの看板を見つけ食べる事にします。
信州信濃は蕎麦所、蕎麦ソフトです。
お店の方が、「店の角がパワースポットだ」と、
教えてくれます。
トレイス君と僕は、スポットに立ってパワーを受け、
益々の霊力を得ます。

信濃紀行‐2 歩行訓練

次の日(5月12日)の朝です。
雨はすっかり上がり、爽やかな日差しに満ちています。
明るい光に満ちた長野駅前広場に出ると、
時計を巻き戻し様に、
二年前の長野到着の日が蘇ります。
空には幾機ものヘリが飛び交い、
スピーカーをがんがん鳴らしながらアジを飛ばす
宣伝カーが走り回り、
中国の赤とチベットの黄色の激しい原色が街に溢れ
政治運動のドキュメンタリー映画が現実を超越して
鮮やかに其処に繰り広げられていたのです。

今朝の長野駅前広場は、高原の街の清々しさで、
職場に向かう人が、足早に過ぎて行くばかりです。
朝の空気の中で大きく深呼吸します。
「ふーぅ!寒い」 とても冷えてます。

ガイドのKさんと、善光寺さんに向かいます。
聖火リレーの時、泊まったホテルや見覚えの有る県庁、
聖火リレーの時、星野さんがスタートした地点を
左に見て、善光寺さん門前に着きます。
仁王門は幹線道路に挟まれて、
何だか取り残されたようにぽっつんと在ります。
仁王門を潜って道路を渡ると、
其処からは、長い参道が続いています。
早く来たものですから、参道脇の仲店は開いていません。
空いている参道を、我らは歩行訓練で歩きます。
Kさんはガイドボランティアや
白杖体験やサポートの講師もされています。
手引きのされ方、仕方、互いの問題点や
疑問点を話しながらの勉強会での歩きです。

信濃紀行‐1 雨の日です。

丁度 二年前です、名古屋から長野に向かう列車
「信濃号」の車窓は、桜や林檎の花の咲く
柔らかな春の日差しの有る4月下旬の日でした。
でも、今日は雨です。
車窓の景色は雨に煙って、
ただただ霞むばかりで、何も見えません。

午後4時 長野駅到着です。
お願いしていた視覚障害者外出支援のKさんの
迎えを受けて長野駅前のホテルに案内して頂きます。

二年前の四月二十四日、聖火リレーのトーチランナーに
招待され、トレイス君と長野に遣ってきました。
着いた日は春らしい良い天気でしたが、
次の日の聖火リレーの途中から振り出した雨が、
長野を去る時間に成っても振り止まず、
新緑の木々の葉を冷たく叩いて折りました。
聖火リレーの大役は果たせたのですが、
善光寺さんのお参りや観光が充分に出来ず、
もう一度、来たいなぁー!と、あれから念願の日々でした。
偶然知己を得た外出支援のKさんの好意も有って、
本日遣ってきたのです。

長野は、あの去った日と同じ冷たい雨で、
迎えてくれています。
それから時間を逆戻すように、信濃の旅が始ります。

雨降るとほっとして、上るとがくっとする!此の頃

庭の植木も鉢植えも
すっかり新緑です。
大型連休は良い天気でしたので、
水遣りを丁寧にしないと、若葉がしんなりです。
冬でもそうでした、
見えないからいいかげんにホースを振り回して
水遣りです。
あっち、こっちに掛って無い所が有ります。
其の鉢は水切れ状態でしょう。
ときどきやって来る植木好きのおっちゃんが、
「あ、あ!」と、言いながら、遣り直してくれます。
枯れかけていた鉢植えは、息を吹き返します。

それでこれから夏にかけては、雨が降るとほっとします。
雨は庭に分隔て無く振り注ぎます。
鉢という鉢に満遍なく水は掛ります。
随分助かります。でも、でも、でもです。
鉢植えばかりでなく、
強烈な太陽に痛めつけられていた、
庭一面の雑草も元気を取り戻します。
元気を取り戻した雑草は、一気に根と葉を伸ばします。
ほっとしてがっくです。